コルヒチン中毒死における血中エンドトキシン測定の法医学的意義
Project/Area Number |
17H00693
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
境界医学・社会医学・看護学等
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
堀岡 希衣 旭川医科大学, 法医学講座, 技能補佐員
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Project Period (FY) |
2017
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2017: ¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
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Keywords | 法医学 / コルヒチン / エンドトキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : 法医学分野において、毒物を含有する植物の誤食による食中毒死亡例が報告されている。特にイヌサフランにはコルヒチンが含有されており、下痢や嘔吐などの症状がみられる。コルヒチンは細胞増殖を阻害する作用があるため、腸管粘膜上皮細胞は、その作用を強く受け腸管バリア機能が破綻すると予想される。その際、血中エンドトキシン濃度が上昇し、いわゆる「エンドトキシンショック」による重篤な症状を引き起こすことが推測される。こうした仮説から、法医解剖時所見、血中・臓器中のコルヒチン濃度に加えて、血中エンドトキシン濃度がコルヒチン中毒死のマーカーとして法医診断上有用であるか検討することを目的とし、本研究を行った。 研究方法 : ①コルヒチンが腸管バリア機能を破綻させるか確認するため、大腸癌細胞株Caco-2を単層培養し、コルヒチンを含んだ培養液で培養して、タイトジャンクション蛋白質であるZO-1の発現量をウエスタンブロット法及び免疫蛍光染色によって解析した。 ②コルヒチンをマウスに経口投与し、死に至る前に採血と各臓器の摘出を行う。血清を検体として、エンドトキシン測定キットを用いて血中エンドトキシン濃度を測定する。摘出した臓器から病理組織標本を作成し、ヘマトキシリン・エオジン染色及び抗ZO-1抗体を用いた免疫染色し、その形態変化を評価した。 研究成果 : ①コルヒチン添加12時間後のCaco-2において、ZO-1のタンパク発現低下が認められた。 ②血液からはエンドトキシン、TNFαが高濃度に検出された。また、コルヒチン投与群の小腸におけるZO-1の免疫蛍光染色で、腸管バリアの欠損を認めた。 これらの結果から、コルヒチンが腸管バリア機能を破綻させ、エンドトキシンの上昇、さらにはエンドトキシンショックを誘導することが証明された。よって、血中エンドトキシン濃度を測定することは、法医診断の一助となることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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