Outline of Annual Research Achievements |
近年、本来は形態画像であるX線CT画像から肺機能分布を求めることが試みられている。治療計画CT撮影時に合わせて撮影される4D-CTの画像を利用して肺機能分布を取得する方法である。これは呼気時と吸気時に取得した画像から変位量を求め、その変位量から肺機能の分布を作成する手法である。しかし、先行研究では、従来の肺機能分布(SPECT等)に対する4D-CTで取得した肺機能分布の相関性は, 高くないと報告されており、これは4D-CT撮影時の呼吸変動によるアーチファクトの発生に起因している。したがって、呼吸変動に起因した4D-CTアーチファクトを低減することが、肺機能分布の精度向上に直接的に寄与すると考える。 4D-CTによる肺機能分布の取得精度を向上させることを目指し、呼吸変動に起因した4D-CTアーチファクトの低減方法の確立を目的した。本研究は、以下の2段階の手順で遂行した。1段階目として, 肺の解剖学的構造に基づいたソート法の確立を行った。放射線治療計画支援装置を使用して各呼吸位相間の画像に変形レジストレーションを行い、三次元変位ベクトルを得た。呼吸変動があった場合、各位相間における三次元変位ベクトルの規則性に変化が生じるが, 不規則性のある位相を抽出し、その位相においては解剖学的構造を加味したソートを行うことでアーチファクトを低減した4D-CT画像を取得した。2段階目としてソート法の違いにおける肺機能分布の定量評価を行った。従来の位相ベースのソート法と、本研究で確立した肺の解剖学的構造に基づいたソート法で取得した4D-CTから、肺機能分布を作成した。これらの肺機能分布と真の肺機能分布(SPECTで取得した肺機能分布)の類似性について、解析ソフトウェアを用いて定量評価を行い, 肺の解剖学的構造に基づいたソート法の優位性を証明した。 4D-CTのアーチファクトの低減が可能になることで, 従来よりも簡便に精度の高い肺機能分布画像を得ることができるため, 本研究の社会的意義は大きい。
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