Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 放線菌症の主たる起炎菌はActinomyces israeliiである。確定診断には病巣からの菌種同定あるいは病理学的な菌塊の証明が必要となる。しかし、画像所見でしばしば腫瘤性陰影を呈し、悪性腫瘍や結核との鑑別が困難であるため、A. israeliiの早期検出が診断上望ましいが、A. israelliiは遅発育菌のため培養に時間を要する。本研究ではリアルタイムPCR法によりA. israelliiを検体から直接検出可能な検査法を確立することで、A. israeliiの早期検出を目的とする。 研究方法 1) データベースよりActinomyces属のゲノム配列を入手し、A. israeliiに特異的な配列を選択し、それに対し特異的なPCRプライマーおよびプローブを設計した。 2) 当検査室内で過去に検出されたA. israeliiおよび他のActinomyces属(A. meyeri等)の菌株からDNAを抽出後、1)で設計した条件でA. israeliiのみが検出可能か評価した。 3) リアルタイムPCR法による定量性確認のため、希釈直線性を評価した。 研究成果 設計したA. israelii特異的プライマー/プローブでA. israeliiを検出可能であること、また臨床での検出頻度が比較的高く、過去に当検査室で検出・同定されたA. meyeri, A. odontolyticus, A. naeslundii, A. neuii subsp. neuii, A. turicensis, A. europaeus, A. graevenitziiは検出されず、本研究内での非特異的な反応は確認されなかった。また、本条件でのA. israelii検出に対する希釈直線性が確認されたため、臨床検体からの直接的なA. israeliiの検出とその定量的な評価が可能な検査法であることが示唆された。
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