Project/Area Number |
17H04477
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 海外学術 |
Research Field |
Environmental dynamic analysis
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
安永 数明 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (50421889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 智明 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 室長 (10462491)
城岡 竜一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究プログラム), 主任技術研究員 (20222432)
谷口 京子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), 技術スタッフ (30770573)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2018: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2017: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
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Keywords | 大気エアロゾル / 環境動態解析 / エアロゾル / 対流 / 熱帯 / 気候変動 / 雲 / 環境変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「降水活動が活発な熱帯西太平洋に位置するPalau共和国において大気エアロゾル粒子と降水粒子の長期的な連続観測を行い,衛星観測から得られたデータも組み合わせながら,インドネシアの森林火災を起源とする大気エアロゾル粒子の,熱帯海洋上における雲・降水の特性に与える影響について明らかにする」ことを目的としている。4年計画の3年目として,A.「昨年度に改修したライダー装置を用いて,大気エアロゾル粒子と降水粒子の連続観測を実施した」,B.「Palau域の対流活動とエアロゾルの関係について調べた」,C.「昨年度の解析で得られた上層雲の変動特性について研究論文の形でまとめて専門誌に投稿した」。 A.に関して,3回程度Palau共和国を訪問して測器のメンテナンスを行うと共に,ライダーを用いた連続観測を実施した。ライダーに関しては約2ヶ月のデータ取得が確認できた。データを持ち帰って品質チェックし,研究用途として十分な品質でることを確認できた。 B.に関して,2018年8月に非常に多くの発雷を観測したことが分かった。最大で20000(回/日)を超えており,周辺海域の雷の発生頻度の平均の10 倍にも達するものであった。同時期のライダー観測では、高度2km付近においてエアロゾル層をとらえており,これが雷発生に深くかかわっていることが示唆された。またこのエアロゾルは,後方流跡線解析により,インドネシア起源であることが分かった。 C.に関して,Palau域の上層雲の半日周期変動や日周期変動について,比較的小さなシステム数に関しては日周期,中ぐらいのシステム数に関しては半日周期,大きなシステム数に関しては弱い日周期を示すことを明らかにするとともに、強い台風などでは,この日周期が特に顕著であることを統計的に示した。特に後半部分の成果に関しては,研究論文の形でまとめて専門誌に投稿し受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は4年間の観測実施計画を持ち,2年目までに「Palau 共和国の観測測器の改造と整備を行い,様々な測器(降水粒子観測測器,AWS)による無人で安定に観測できる体制を整備する」となっている。この部分までは、いくつかのトラブルはありながらも、順調に達成できている(昨年度の報告書を参照)。これを受けて3年目以降に関しては、「Palau 共和国で実際に連続観測を開始し、得られた観測データを解析する」ことと,「Palau 共和国付近の雲の変動特性について衛星データを用いて整理する」という計画となっている。 前者に関して、無人の長期連続観測により,インドネシアの乾季を含む西風卓越期(6月~10月)において,その大半をカバーする300日程度のデータは取得できた。さらにその観測データから、ここ数年間ではとびぬけて多い発雷事例を見つけ出して、本研究の主目的であるインドネシアのバイオマスバーニング起源のエアロゾルとの関係を明らかにした。以上から、Palau共和国での観測の実施と観測データの解析の部分に関しては計画通りに進んでいる。 後者に関しても,上層雲のシステムの大きさによって日周期や半日周期などの異なる変動特性を明らかにし,研究成果を国内外の研究会・学会において発表している。また、強い台風では、日周期が特に顕著であることを統計的に示し、その成果に関しては、研究論文の形でまとめて専門誌に投稿し受理されていることから、こちらも順調に進展している。 以上から,本研究課題の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前項のように,本研究課題は「おおむね順調に進展している」ことから,当初の計画通り下記の4項目に取り組んでいく。 (1)昨年度に引き続き,インドネシアの乾季を含む西風卓越期(6月~10月)において,降水粒子観測測器,AWS,多波長ライダーを含めた全観測を実施する。また今年度も2-3回程度現地を訪問して,ライダー,降水粒子観測測器、AWSといった測器による,その時点で得られた全観測データを回収する。 (2)得られた観測データを用いて大気エアロゾル粒子や降水粒子の物理特性の解析を続ける。特に観測データに見られた,2018年8月の異常に多くの発雷があった事例に着目する。ここでは,地上観測を用いた大気エアロゾル粒子や降水特性に関する解析に取り組むと共に,衛星観測データを統合して,インドネシアの森林火災を起源とする大気エアロゾル粒子の,熱帯海洋上における雲・降水の特性に与える影響について明らかにしていく予定である。現在は,後方流跡線解析やラジオゾンデのデータ,降水粒子の特性について調べており,それらを投稿論文の形でまとめると共に,その他の研究成果も積極的に公表する。 (3)昨年度の研究活動によって明らかになったPalau域の上層雲の変動特性について,投稿論文の形でまとめると共に,その他の研究成果も積極的に公表する。 (4)アメリカ海軍を中心とした研究グループでは,フィリピンの国内において,人為起源エアロゾルの性質,雲・降水への影響を明らかにすることを目的とした,航空機集中観測Camp2exを計画している。本研究課題で行うPalau域での観測は,西風期には彼らの観測の下流にあたるため,研究の相互協力は本研究課題を大きく発展させる可能性がある。Camp2exの研究者と相互協力の可能性について議論する予定である。
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