Project/Area Number |
17J00926
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Literature in general
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
李 珠姫 筑波大学, 人文社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2018)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2018: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2017: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 転向 / ジェンダー / 雑誌研究 / プロレタリア文学 / 消費文化 / 治安維持法 / 生政治 / 転向小説 / ジャンル論 / ナラトロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、佐多稲子の『くれない』を初出誌である『婦人公論』(1936年1月~5月)における連載状況と関連付けて分析した。佐多の初の連載長編である『くれない』は、それまでプロレタリア作家として活動してきた彼女が、商業的な女性雑誌に創作活動の場を見出すきっかけとなったテクストである。小説の連載当時、佐多は、革命のために芸術作品を生産する作家から、出版市場のために文化商品を生産する作家へと、自らの作家的立場を再認識せざるを得なかったと思われる。本研究では、こうした作家としての位置をめぐる佐多の葛藤を『婦人公論』という媒体の性格に留意して考察し、彼女が『くれない』のプロットを通じて執筆当時の過渡的状況を「大衆」の意味を修正する過程として物語化している点を明らかにした。この分析に基づき、本年度は、論文“A Proletarian Writer in the Showcase Window: The Shifting Representation of ‘the Masses’ in Sata Ineko’s Kurenai ”を執筆した。この論文は「転向」をテーマとする共著書に収録される予定である(収録決定済み、刊行年度未定)。 なお、本年度は、高見順の短編群を分析した。まず、1932年頃に思想犯にたいする司法的措置として制度化された転向政策が日本の「伝統的」な家族制度を反映するものして正当化された点を踏まえ、思想犯の転向を証明する資料として司法当局に提出された手記の中で、転向の態度を示すものとして家庭への回帰が繰り返し語られた点を確認した。その上で本研究では、1933年初頭に転向を経験した高見が、釈放されてから凡そ4年間に亘って発表した短編を分析し、転向の言説で国家を比喩するものとして言及された〈家族〉を、高見が転向の神話を逆照するためのモチーフとして再利用したことを確認した。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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