体内時計の分子機構から迫る難治性乳がんの新規治療戦略
Project/Area Number |
17J01969
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Gender
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荻野 敬史 九州大学, 大学院薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2019: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2018: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2017: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 乳がん / 時計遺伝子 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では多くの哺乳動物で「体内時計」を構成している時計遺伝子の発現が、がん幹細胞において低下してることに着目して研究を進めてきた。マウス乳がん細胞株において時計遺伝子の活性を持続的に評価するルシフェラーゼレポーター系を構築し、がん幹細胞における時計遺伝子の機能評価を行った。その結果、通常の乳がん細胞で確認された時計遺伝子の転写活性の約24時間の周期は、分離したがん幹細胞においては破綻していることが明らかとなった。同細胞株から分離したがん幹細胞において特定の時計遺伝子を一過性に過剰発現させたところ、がん細胞の腫瘍形成能や、がん幹細胞のマーカーとしても知られているAldehyde dehydrogenase(ALDH)の活性が低下した。これらのことから、時計遺伝子群が形成する細胞の概日時計機構のがん幹細胞における破綻は、がん細胞の悪性度と密接に関わることが示唆された。これらの培養細胞を用いた検討は、国内学会で成果を発表した。また、同細胞株をマウスに移植した担癌モデルマウスにおいても、時計遺伝子の発現は、非がん幹細胞では約24時間周期で発現が変化したのに対して、がん幹細胞群では発現が顕著に低下していることを明らかとした。これらの担癌モデルマウスを用いた検討は、投稿論文として成果を発表し、アクセプトされて発行中である。 今後の展開としては、がん幹細胞における時計遺伝子を活性化させることによりがんの悪性度を制御することができる新規化合物を探索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん幹細胞における時計遺伝子の強制発現によるがんの性質変化という点に関して、おおむね順調に進展していると思われる。欠如している時計遺伝子の発現を補うことにより、がんの悪性度を制御することができる可能性を見出した今年度の研究結果は、乳がん治療において新たな治療戦略が可能になることを示唆している重要なものだと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、がん幹細胞における時計遺伝子の発現低下メカニズムを解析し、治療応用に重要な治療標的分子を同定したいと考えている。また、治療応用にあたり、ヒト乳がんへの応用が可能であるかということを検討しなければならないと考えている。現在のところ、ヒト乳がん細胞への応用が可能であることを示唆する実験結果が得られているため、今後より詳細に検討したい。これらの事項を達成したのちは、その治療標的分子をターゲットとした化合物スクリーニングにより、がん幹細胞において時計遺伝子を活性化させることができる化合物を同定したいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)