卵白におけるタンパク質混合系の協同的な凝集体ネットワーク形成機構の解明
Project/Area Number |
17J03290
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Food science
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩下 和輝 筑波大学, 数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2018)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2018: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | タンパク質凝集 / 液液相分離 / コアセルベーション / 卵白 / オボアルブミン / リゾチーム / オボトランスフェリン |
Outline of Annual Research Achievements |
卵白はタンパク質含有量が多く、優れたゲル化特性をもつ食品である。この卵白ゲルの粘弾性や保水性といった物性はタンパク質凝集体のネットワークに起因する。本研究では、卵白加熱ゲルの物性の起源となる凝集体のネットワーク形成の分子機構を明らかにすることを目的とする。昨年度は、卵白タンパク質の主成分であるオボアルブミンとオボトランスフェリン、リゾチームの3種を用い、その混合系で異種タンパク質が協同的に熱凝集する過程を明らかにした。その中で、オボアルブミンおよびオボトランスフェリンの凝集体に対し、天然状態のリゾチームが会合することを見出し、本年度はその作用機構を解明することを目的とした。 オボアルブミンとリゾチームを低イオン強度の溶液で混合すると、複合体が形成され溶液が白濁した。互いに天然状態の場合は、数μmの大きさの球形をした液滴を形成した。この液滴は可逆的な静電相互作用および水素結合による流動性を有する。これに対して、一方のタンパク質を部分変性させると、オボアルブミンとリゾチームの複合体は、数十μmの大きさの不規則な形の凝集体として観察された。変性したオボアルブミン/リゾチームが形成する複合体は、静電相互作用に加えて不可逆な疎水性相互作用を介して形成されるフラクタル構造のネットワークをもつ凝集体であった。 複数種類のタンパク質が混在している系においては、一種のタンパク質がわずかに変性したことを引き金に、対に荷電したタンパク質との静電引力と疎水性相互作用を介して、凝集体の成長が促進された。当該研究が明らかにした複数のタンパク質の協同的な凝集は、卵白タンパク質を用いた食品工学だけでなく、生体内タンパク質の凝集によって引き起こされる疾患の病理学やタンパク質精製の生物工学に対して、タンパク質科学の物理化学に立脚した理解および制御を可能にする。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)