Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
“切り紙構造”はシート材料に多数の切れ込みを入れた構造であり、簡単な加工でシートの大きな伸長を可能にすることができる。多様なシート材料が開発される中、その利用の幅を広げることを期待されている。本研究では切り紙構造の物理的性質を解明するため、引っ張り実験における力学応答を調べている。これまではケント紙を加工した切り紙試料を自作の装置で引っ張り、その変形初期の転移現象前後に着目して実験と理論の両アプローチを用いて研究を進めてきた。構造を簡単化したモデルについて弾性エネルギーを導くことで理論式を導き、実験結果と整合することを確認している。紙以外での素材での振る舞いの違い、初期領域において説明できていない降伏現象の説明、初期領域以外の領域の現象の解明などが課題となっていた。今年度は、以下の二点について進捗を得た。1.シンプルモデルと転移の不連続性…これまでと同様のシンプルモデルの理論より、転移直後にみられる降伏は、転移点における平面内変形・平面外変形での力の不連続性によるものだと示した。平面内変形・平面外変形それぞれの力に比例関係があることを導いた。実験によって以上の結果を確かめた。2.一般化モデルにおける転移現象の発現の理論…シンプルモデルを一般化したモデルから、一般的な変形におけるエネルギー関数の変化と熱力学的な臨界現象における連続転移とのアナロジーを示した。この理論と以前の理論は、それぞれ異なるパターンの実験結果を再現した。また、一般化モデルにおけるエネルギーと力の計算結果を、解析的にも記述することに成功した。シンプルモデルについても同様に導き、これまでの結果をすべて解析的に比較することを可能にした。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2019 2018 2017
All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (15 results) (of which Int'l Joint Research: 5 results, Invited: 1 results)
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 88 Issue: 2 Pages: 025001-025001
10.7566/jpsj.88.025001
日本物理学会誌
Volume: 72 Pages: 360-363
40021179937