Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
樹木が異なる環境にいかに適応しているかを明らかにするため,東アジアに広く分布するブナ科樹木を対象に,適応戦略に関わる葉や材の形質(葉の面積や光合成速度など,形態的または生理的な特徴)が気候によってどう変わるかを調べた.今年度は調査済みの11箇所に加え,京都府京都市の暖温帯林,山形県鶴岡市の冷温帯林,ボルネオ島キナバル山の熱帯山地林において,出現するブナ科樹木の葉と材を採取した.その後,植物の必須資源である光,水,栄養塩の資源利用に関わる形質を定量化し,形質間の関係性及び形質と気候との関係を検討した.光,水,栄養塩の利用に関わる形質は葉と材において種間で強く相関し,生産性と耐久性のトレード・オフ(一方の戦略を重視すると他方を犠牲にせざるを得ない関係)を形成していた.形質と気候との関係については,寒冷な地域ではストレス耐性を犠牲にして生産性を高める樹木が多く,温暖な地域では逆の傾向が見られた.また,以上の形質の変異はサイト間で生育する種が置き換わることで駆動されていた.一方,葉や材の形質と降水量との関係は弱かった.以上から,東アジアにおける気温傾度が,生産性と耐久性の生理生態学的トレード・オフに基づき,種の分布及び森林タイプを規定していることが示唆された.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (8 results) (of which Invited: 1 results)
Botany
Volume: 印刷中
Ecological Research
Trees
Volume: 32 Issue: 6 Pages: 1573-1582
10.1007/s00468-018-1734-8