Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
採用第1年度に調査地域のヒトの母子から採取した試料の誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いた鉛濃度の解析では、WHOが推奨する母乳の許容域(2-5μg/dL)を超過する鉛濃度を確認した。また、鉛安定同位体比解析の測定をマルチコレクター型ICP-MSを用いて行ったが、母子の血液と母乳に比べ、乳幼児の糞便が調査地域の土壌に最も近い鉛安定同位体比を示した。このことから母乳は乳幼児の鉛曝露源の1つではあるものの、主な曝露源は土壌など環境中の鉛で有ることが示唆された。採用第1年度に行ったKabwe市全域を対象とした疫学調査の試料のICP-MSを用いた鉛濃度の測定と、血漿を用いた生化学検査を行った。生化学検査では、25-50%の試料で、肝臓や腎臓に関わる項目の上昇が見られた。また、鉛が特異的に結合し、活性が低減することが知られているアミノレブリン酸脱水素酵素(ALAD)の活性と血中鉛濃度に有意な負の相関があることがわかった。これらの結果から、調査地域の人々は鉛曝露により重篤ではないものの、健康被害が起きている可能性が示唆された。調査地域内のヒトや動物が高濃度の鉛曝露に対して、何らかの生体防御機構を有し、鉛の毒性を低減していることが示唆された。鉛の毒性影響を考える上で、生体中の鉛の存在形態や組成は重要であるが、知見は少ない。本年度は生体内の鉛の存在形態を解明するべく、調査地域内でサンプリングされたラット試料を用いて、X線吸収微細構造(XAFS)解析を行った。腎臓や肝臓、骨といった各種臓器の測定を行ったが、臓器ごとに異なる鉛の化学形態であることが示唆された。鉛が高濃度に蓄積しやすく、毒性が発現しやすい腎臓や、長期間に渡って鉛が蓄積することが知られる骨で、それぞれ鉛の化学形態が異なることは鉛の毒性を解明して行く上で重要な手がかりであると言える。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemosphere
Volume: 247 Pages: 125884-125884
10.1016/j.chemosphere.2020.125884
Volume: 243 Pages: 125412-125412
10.1016/j.chemosphere.2019.125412
BioRxiv
Volume: -
10.1101/096164
http://satreps-kampai.vetmed.hokudai.ac.jp/