どのように時間を覚えるか?‐回想的時間知覚を可能にする神経基盤の多面的解明‐
Project/Area Number |
17J07783
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cognitive science
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 良祐 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2022-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 時間知覚 / fMRI / 方向感覚 / エピソード記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は回想的時間知覚の脳内メカニズムを解明することを目的としている。回想的時間知覚とは、時間を測る課題であることが明示されないまま他の課題に取り組み、後からその課題について時間の長さを評価させるという方法である。回想的時間知覚をfMRIで検討する上での問題点は、一試行しか実施できないことであった。そこでまずは試行数を増やした課題を開発した。具体的には以下の課題である。 被験者に時間の長さが数十秒~数百秒の様々な映像を視聴させる。このとき、被験者の課題は各映像の面白さなどを評定することとする。全ての映像視聴後、各映像のスナップショットを呈示し、そのスナップショットが含まれていた映像がどれくらいの長さだったと思うかを評価させる。この課題により、回想的時間知覚による評価を複数回実施することが可能となった。 さらに、「エピソードを想起することで思い出す時間」と「エピソードによらないで思い出す時間」を分離するために、各映像のスナップショットを複数枚呈示し、その並び替えをさせてから回想的時間評価をさせることとした。並び替えが成功すれば、「エピソードから推定した時間知覚」として、並び替えが失敗すれば「エピソードによらない時間知覚」とする。 以上の課題により、回想的時間知覚を複数試行実施し、さらにエピソードの想起から推定した時間知覚と、エピソードによらない、よりバックグラウンドで処理される時間知覚とを分離する方法(一括回想的時間知覚法)を開発した。この方法により、回想的時間知覚をfMRIで検討することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は主に一括回想的時間知覚法の開発をおこなった。特に、課題に用いる映像の選定に時間を要した。注意した点は以下の2点である。1. 適度なストーリー性を持つこと、2. 興奮度を揃えること。エピソードを覚えていたかを判定するために映像のスナップショットの並び替えを課題として採用した。全くストーリーがないような映像ではエピソードとは言えないため、ある程度はストーリー性がある必要がある。しかしながら、時間知覚には興奮度が大きく関わっていると言われているため、内容が激しかったり大人しかったりするのも好ましくない。以上から、あまり興奮度が高くなく、適度なストーリー性を持った映像を検討した。動物に関する作品、工場紹介、サイエンス番組、著名人のインタビューなどを採用することとした(例:ナショナル ジオ グラフィック)。 また、fMRIの解析方法を学ぶため、生理学研究所のトレーニングコースに参加した。主に解析ソフトのSPMについて学ぶとともに、fMRIの原理などについて学び、また議論を深めた。その経験をもとに実験パラダイムの改良を行いつつ、一括回想的時間知覚法の行動実験の部分について予備実験の準備に取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
一括回想的時間知覚法の課題が適切であるかを慎重に検討する。具体的には、1. 数十本にも及ぶ映像の時間評価を回想的に行わせてどれほど回答できるのかを見極める、2. 映像の興奮度を一定にする。一括回想的時間知覚法というこれまでにない手法のため、実際に妥当な方法として機能するのかを検討するため、予備実験のデータをチェックする。また、映像の選定は興奮度なども考慮しているが、予備実験において実際に興奮度を評価させ、意図しない興奮度になっている映像は本実験では除外する必要がある。 こうした予備実験を踏まえて、一括回想的時間知覚法にもとづいたfMRI実験を行う。課題時のfMRIデータだけでなく、安静時fMRI、脳形態画像も全て取得し、安静時脳機能との関係や脳形態との関係も並行して検討できるように本実験を実施する。 その後、同様のパラダイムを高齢者にも適用することで、加齢による時間知覚への影響も検討していく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)