Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
成体の様々な組織には組織幹細胞が存在し、生涯に渡り分化細胞を供給する。これら成体組織幹細胞は共通に、分裂を抑制した静止状態をとることが知られている。成体哺乳類の脳にも神経幹細胞が存在し、静止状態を保つことで長期維持される。興味深いことに我々は、その発生起源として、胎生期から既にゆっくり分裂する細胞集団を同定した。更にこれら胎生期起源細胞は、成体神経幹細胞の分裂抑制を担うCDK阻害因子p57を高発現し、未分化なまま長期維持されることを見出した。そこで本研究ではp57下流のメカニズムの探索を通じ、神経幹細胞における分裂抑制の新たな意義を明らかにすることを目的とした。本研究により、p57の下流として、幹細胞の未分化性の維持に重要なNotchシグナルが活性化すること、および胎生期起源細胞において確かにNotchシグナルが高いレベルで活性化していることを示す結果を得た。さらに網羅的遺伝子発現解析により、p57の下流でNotchシグナルの中でも特定の経路が動く可能性を示唆する結果を得た。また、このシグナル経路が、p57下流における未分化性の維持および神経幹細胞の形成に必要であることを示唆する結果を得た。本研究を通じて、神経幹細胞の分裂頻度の制御とその下流での未分化性の維持のつながりを分子レベルで明らかにすることができ、幹細胞の基本的な性質を繋ぐことができたと考える。また神経幹細胞にとどまらずその他の組織幹細胞においても同様の機構が働いている可能性があり、幹細胞生物学全般においても意義がある仕事になりうると考える。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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