Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
1.エチレン阻害剤処理で出現する両性花的な異常花の機能解析 雌花のみを分化する雌性型キュウリ(M-F-)にエチレン阻害剤を処理すると,雄花だけでなく,両性花的な異常花も出現することは知られているが,この花が機能的な両性花であるかは不明である。そこで,エチレン阻害剤処理により出現する両性花的な異常花の生殖器官の機能を明らかにすることを目的に実験を行った。実験では,交配による種子形成の有無により雌蕊の機能を,また,グルコース培地上での花粉管の伸長の有無により雄蕊の機能を解析した。その結果,雌性型キュウリにエチレン阻害剤を処理すると,両性花的な異常花とともに,雄蕊と雌蕊の機能を合わせもつ両性花が出現することが明らかとなった。両性花的な異常花では,雌蕊が長くなるに従い,雄蕊の長さは短くなった。しかし,両性花では雄蕊の長さが3mm以上で,かつ,雌蕊の長さが雌花と同程度(28mm)以上であった。そのため,雄蕊と雌蕊の長さの関係を表したグラフにおいて,両性花は,両性花的な異常花の集団には属さないことが示された。 2.キュウリの性分化とプログラム細胞死(PCD)の関係 キュウリの性分化は,がく,花弁,雄蕊,雌蕊の各原基を形成する両性花的な発育段階を経た後,雄蕊または雌蕊原基の選択的な発育抑制によって起こる。そのため,雌花には雄蕊原基の痕跡が,雄花には雌蕊原基の痕跡が認められる。本研究ではキュウリの性分化に伴う生殖器官の発育抑制におけるプログラム細胞死(PCD)の関与を調べるために,花器官におけるCsl-MMPの発現を定量的RT-PCR法で解析した。マトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)は,細胞の運命(PCD,増殖,分化)や組織の三次元構築に関与する細胞外マトリックス(ECM)の分解酵素であり,Cs1-MMPは,キュウリ子葉の老化期からPCD期において,DNAの断片化を生じる時期の直前で強い発現を示す遺伝子である。実験の結果,Csl-MMP遺伝子は,雄花では雌蕊領域で,雌花では雄蕊領域で強い発現を示した。このことから,雄花・雌花ともに,発育しない方の生殖器官は,PCDによって退化することが示唆された。
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