Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本研究では耐塩性を持ち,塩類の中でも特にNa^+の吸収に優れた品種に着目し,安定した作物生産と共にNa^+を取り除くことを検討する.また,土壌中のNa^+の量と作物の水分消費と収量の関係を明らかにすることを目的とする. 平成19年度は,福岡県糸島郡の海岸地域で栽培され,普通作物では比較的耐塩性を持つとされているカブ(Brassicarapa)(飛騨紅カブおよび芥屋カブ)とブロッコリー(Brassica oleracea L)を対象にNaClへの耐塩性および肥料効果について評価した.まず,芥屋カブおよび飛騨紅カブに対しNaCl水溶液による種子の発芽実験を行った.その結果,10mS/cmでほぼ100%,20mS/cmでもそれぞれ58%,79%の発芽率を示し,塩を含む土壌でも十分発芽することが明らかとなった.また,4mmふるいを通過した砂およびマサ土を充填したワグネルポットを20個ずつ用意し,0,1,3,5,10mS/cmのNaCI水溶液を用いて,61日間の塩水灌概による栽培実験を行った.その結果,2種類のカブに対し低濃度のNaCl水溶液では肥料効果が認められ,10mS/cmを越えると収量の低下が見られた.現地調査から海岸地帯の畑地では1mS/cmのNaCl水溶液を灌概した土壌と同等の塩分を含み,肥料効果を果たしていると考えられた.どちらも砂の方で収量が多く,Naの吸収率が高かったのは芥屋カブであった.また,作物に40mS/cmの塩水を与えた24時間後にリーチングを行い蒸散量の変化を測定した結果,ブロッコリーおよび飛騨紅カブは数時間で回復へ向かったのに対し,芥屋カブは飛騨紅カブの約2倍のNaを吸収したことでイオンストレスを受け,回復しにくいことが明らかとなった. 本研究は作物の耐塩性と塩ストレスの受け方の相違を明確とし,海岸地帯での灌漑計画に寄与するものと考えられる。
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