Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
口腔癌の治療成績の向上には、所属リンパ節転移の早期診断が不可欠である。所属リンパ節転移の画像診断としては、現在、X線CTあるいはMRIが最も有効な手段として常用されている。しかし、微小な転移巣の診断は、結局のところ摘出組織標本の病理組織学的診断に委ねざるを得ないのが現状である。ところで、癌のリンパ節転移巣を病理組織学的に検討していると、腫瘍細胞周囲には腫瘍血管の増生が認められ、本来のリンパ節組織内の血管構築も腫瘍血管の増生に伴い、変化しているものと思われる。そこで、もし、このリンパ節内の微小血管の構築の変化を三次元画像として捉えることができれば、所属リンパ節転移の早期診断法として極めて有用であると考えられる。本研究においては、ナノバブルと高周波超音波三次元イメージング装置をコンピューター回線でスーパーコンピューターと連結させ、リンパ節転移モデル動物のリンパ節内の微小血管内を流れるナノバブルのエコー輝度から瞬時に微小血管の三次元構築画像を作成するシステムを開発し、所属リンパ節転移の早期診断法に応用することを目的とする。平成18年度においては、本研究に用いるリンパ節転移モデル動物の開発を行った。動物モデルとしては、著明なリンパ節腫脹を来たすMRL/MpTn-gld/gldマウスのリンパ節に、腫瘍細胞モデルとして同マウス脾細胞由来のMRL/N-1細胞を移植し、転移モデルとすることを想定して研究を進めた。平成18年度の研究成果として、唾瘍細胞モデルの増殖動態の定量的な観察を可能にするために、ルシフェラーゼを恒常的に発現するMRL/N-1細胞株を遺伝子工学的手法を用いて樹立することができた。今後、このリンパ節転移モデルを用いて研究を遂行していく予定である。