福島第一原発事故に向き合う教師のライフヒストリーと教材化の可能性
Project/Area Number |
18H00054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
1170:Education, sociology of education-related
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Research Institution | 茗溪学園中学校高等学校 |
Principal Investigator |
前嶋 匠 茗溪学園中学校高等学校, 教員
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Project Period (FY) |
2018
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2018)
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Budget Amount *help |
¥350,000 (Direct Cost: ¥350,000)
Fiscal Year 2018: ¥350,000 (Direct Cost: ¥350,000)
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Keywords | 原発事故の教材開発 / 公害教育 / 教師のライフヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、福島県(元福島県含む)の小学校教員2名、中学校教員2名、高等学校教員3名、および茨城県の小学校教員1名へのインタビュー調査を通して、以下のことを明らかにした。 ①学校現場の教育活動や授業実践において、原発事故や放射線にかかわる問題を取り上げるにあたって、教員が直面する障壁や困難さを明らかにした。筆者はその障壁や困難さにつながる要因を、「外的要因(直接型/間接型)」「内的要因(葛藤型/無関心・逃避型)」「教育的要因」の3つに分けて分析し、その複雑で重層的な構造や相互関係の一端を明らかにした。さらには、「環境教育障壁論」との比較を行い、原発事故をはじめとする公害問題特有の障壁として、「加害一被害構造」障壁と学校文化障壁の2つの存在を明らかにした。 ②様々な障壁や困難さを乗り越え(または向き合い)、教育活動や授業実践に取り組む教員の背景にあるものを明らかにした。筆者はそれを「教員としての生き方あり方」と「教材開発の視点や工夫」の2つの視点から分析した。前者はさらに「福島の教員としての使命感」、「社会科の教員としての使命感」、「原発事故前からの原発や公害に対する関心や問題意識」、「子どもたちの被ばくを小さくしたいという思い」などの10に分類し、後者はさらに「生徒同士の分断を生まない工夫」、「教員のライフヒストリーと授業実践のつながり」、「水俣病を介して原発事故を考えさせる」などの7つに分類した。 ③現場の教員が、原発事故にかかわってこれから取り組みたいと考えていることや、どのような教材開発の構想を持っているかなどを明らかにした。原発事故にかかわる教育活動の活性化のためには、現場の教員の裁量を認めつつも、行政・大学・教育研究団体などとの連携や協力、そして国民的な関心や理解などが必要であることが示唆された。 また本研究は、日本の公害教育実践史における重要な記録の一つになると考える。
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Report
(1 results)
Research Products
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