Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 多くの学校に導入されている情報フィルタリングが引き起こすオーバーブロッキング(有害情報以外の情報まで制限する状態)環境下でも活用できる, デジタル教材の開発とWeb公開に取り組んだ。特に, 児童生徒一人一人に合わせて教材を自作する知的障害特別支援学校で活用可能なプレゼンテーション教材(以下, プレゼン教材)に焦点化して開発した。 研究方法としては, (1)クリエイティブ・コモンズ化したプレゼン教材の開発, (2)Web公開を見据えた教材内容の教科別整理ツールの作成, (3)Web公開システムの構築, 以上3点を同時並行で実施した。具体的には, (1)は, Web公開を想定せずに教員が自作してきた既存のプレゼン教材を, 著作物のイラストや効果音をiPadで別のものに作り替えた。プレゼン教材自体には, クリエイティブ・コモンズの「表示-非営利-継承」の条件を付加し, それを守れば二次利用が可能な状態にすることで, 特別支援学校の教員が担当する児童生徒に合わせて教材を編集できる状態にした。(2)は, 特別支援学校の新学習指導要領(各教科等編)に準じ, 教科(国語等, 全10教科)について「指導内容確認表」を作成し, 熊本大学教育学部附属特別支援学校のホームページで公開した。(3)は, 同学部技術科塚本研究室と連携してWebサーバを立ち上げ, WordPressによるWebページを構築し, プレゼン教材をWeb公開する基盤を作った。 取組の成果として, オーバーブロッキング環境下の学校から, 実際に公開したWebページの閲覧に成功し, 開発教材の学校現場における活用の実現性が明確になった。30種類以上の開発教材はクリエイティブ・コモンズ化処理が完了次第, 順次Web公開している。 加えて, 研究過程で開発した「指導内容確認表」は, 全教科のWeb公開を開始2ヵ月でダウンロード数は延べ1500件を超え, 全国の教員より反響があった。学校現場において教科別整理ツールが有用であったことも成果として申し添える。
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