Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 発達障害児のための「生活自立教育支援アプリケーション(Life Independent ; Education and Support application(以下LIESアプリとする))」を研究開発し, 活用実践して, その効果を検証することである。「LIESアプリ」は, 児童生徒が「生活」の中で①どのような実態で(実態把握), ②何を学習し(課題抽出), ③どのような支援をすれば(学習・指導・支援), ④何ができるようになるか(評価)について, 文字・写真・動画によって簡単にパソコンやタブレット, スマートフォン上に記録でき, これらの情報を蓄積し, 共有して活用できるアプリケーションである。これまでの研究(中川, 2017)で作成した児童用の「生活アセスメントシート」を活用することによって児童が日常生活の中で「今何が, どの段階までできるようになっているのか(実態把握)」と, 「次に何を学習すればよいのか(課題抽出)」の情報収集, 蓄積が可能となった。そこで次に, 保護者や教師が「どのような時に」「どのような場面で」「何を, どのように教育支援する」ことによって児童の成長・発達に寄与するのかについての教育支援情報を可視化するために, 保護者・教師用の「教育支援シート」の作成を本研究で試みた。そこでまず, 保護者・教師の教育支援情報を分析するために, 学習目標が達成できた内容をターゲットとして, 「デジタル連絡帳アプリ」(中川, 2010-2016)から, 保護者・教師の教育支援情報の抽出, 分析を行った。その結果, 特別支援学校小学部児童2名を対象に68項目の学習目標, それに対する教育支援情報が, 保護者183項目, 教師215項目, 計398項目が得られ, これを基に「教育支援シート」を作成した。これにより児童用「生活アセスメントシート」と保護者・教師用「教育支援シート」の関連付けを体系化し, 家庭と学校が, 実態把握-課題抽出-計画-教育支援の実施-評価を実践でき, 得られた情報を随時記録, 閲覧可能なフォーマットを検討, 作成した。今後本研究を基に「生活自立教育支援アプリケーション」を実装し, 教育支援の現場で利活用して「LIESアプリ」の実践, 検証をしていきたい。本研究により, 児童生徒の日常の「生活」における学習情報と教育支援情報を, 教師・学校・保護者は体系的・継続的に把握し, 情報共有できるようになる。そしてこれらの学習情報, 教育支援情報の共有は, チームとしての連携協力を強化し, より効率的・効果的な教育支援の実践を可能にする。本研究は「自立と社会参画」をめざした児童生徒の日常の「生活」を軸にした教育支援連携の強化と, 児童生徒の成長・発達に寄与できる。
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