Outline of Annual Research Achievements |
○目的 反転授業により捻出された授業時間を活用して, 問題づくりの授業を定期的に実践し, 教育的効果や学習行動の変容を研究する。○方法 解説動画を作成する問題づくりの授業を学期ごと3回実践し, 実践後のアンケートから生徒の変容を分析した。(実施詳細 : 高校1年数学I. 単元「図形と方程式」「三角関数」「対数関数・微分」. 各回5時間. 1班3-4人.)。○成果 アンケートにおける3項目「問題づくりは難しい」「問題づくりは楽しい」「メンバーのアイデアに感心した」に相関があり, 単元が進むにつれ学習内容が難化したが, 問題づくりの難しさを感じながらも作問や問題を練り上げる楽しさや面白さを体感し, 他者との協働において単元の学びを深めていることが実証できた. 項目「問題をつくる過程で, 作る前と比べて単元の理解が深まった」が, 実施回を重ねるごとに数値が上昇した(3.1/4点). 「問題づくりはとても時間がかかるし、たくさん時間をかけた割にいつも良いアイデアが浮かばず、いつもがっかりするが、とてもやりがいのある活動だと思っている」という回答やそれに類似する回答が多数あり, 問題づくりの意義と必要性を生徒が強く理解していることが明らかになった. 「普段の授業よりも集中して取り組んだ(3.2/4点)」「班で学習することで, 自分ひとりでは気づかなかったことに気づけた(3.4/4点)」「班で協力して学習することは, ひとりで学習するよりも面白い(3.3/4点)」の項目が高数値であることからも, 仮説のひとつである「生徒が他者の作った問題を解くことで単元の理解を深める。問題の改善点や矛盾を相互に指摘し合うことで, 対話的な学びを実現し, 他者との相互作用を通じて, 個々の考えを広げ, 学習内容の理解をさらに深める」ことを検証できた. 模試に付随する学習アンケートの結果から, 「数学の授業の予習への取り組み」において「予習をしている」と答えた割合が66.3%(全国34.9%)であり, 「数学の授業理解度」において「理解している」と答えた割合が52.7%(全国39.4%), 「授業についていけず非常に不安である」と答えた割合が5.0%(全国8.6%), 「授業についていけずあきらめかけている」の割合が2.5%(全国4.3%)であった. 学習行動が改善された兆しが見られ, 今後も継続して実践を行い, 分析する.
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