Outline of Annual Research Achievements |
高価な分光分析装置がなくても, デジタルカメラと汎用イメージングソフトを用いて, サイリュームを光源とできる色素のカラーマップを作成し, それと照合するとリアルタイムで定量できる教材の開発を目指している. 方法は, (1)サイリューム光源で発光できる色素の選定を紫外可視分光光度計と分光蛍光高度計を用いて, 色素の励起波長と蛍光波長間の差(Stokes shift)を調べた. 次に, (2,4,6-テトラクロロ)オキサレートにフタル酸ジメチルとt-ブチルアルコールの混合溶液(A液)と30%過酸化水素とフタル酸ジメチルおよびt-ブチルアルコールの混合溶液にサリチル酸ナトリウムを加えた溶液(B液)および色素(99.5%エタノールで溶解又は均一に分散)を用いて, 化学発光実験を行った. 完全に遮光できる簡易な構造の画像撮影装置を試作した. その装置でサイリューム化学発光の有無と光の色の撮影を行った. (2)イメージングソフトで光の色の画像をRGB(赤緑青)の数値にして, CIE表色系XYZスペクトル三刺激値(等色関数)へ換算し, そのスペクトル色度座標を求めた. カラーマップを作成して, 得られたスペクトル座標と波長スペクトルとの相関の有無を調べた. その結果, (1)市販の合成色素は共鳴エネルギー移動(FRET)で, 天然色素(クロレラとスピルリナから抽出したクロロフィル a等)は化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)であった. (2)色の見え方と等色関数と可視光領域の波長スペクトルは, ほぼ一致していた. しかし, 本実験条件は, 色素のエネルギー移動(発光時間)は10秒間から1分間程度と短時間であった. 光の色は, 蛍光強度が短時間で大きく変化したため, かなりの色差があった. 今後, 色差の数値化して解析を行う. また, 初等・中等教育機関にも教材として導入できる定量法を検討する予定である.
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