Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
本研究の目的は、小学校理科授業の児童が主体的に活動する学習形態、いわゆるアクティブラーニングでしばしば課題とされている仮説形成場面において、児童による説明仮説の形成を支援する指導方略の開発にあった。本研究は「実験素材を提示し、実験方法を検討させる授業方略によって新たな視点への気づきを促し、驚くべき事象を説明する仮説の形成を支援することができる」という研究仮説の基に行った。研究の進展に伴い、実際の授業においては実験方法を検討する活動そのものに児童が困難を持つこと、その指導法も先行研究において十分提案がなされていないことが示唆された。実験計画活動も児童によるアクティブラーニングに寄与する重要な活動である。そこで本研究の目的を果たすために、その前段階として実験を計画する手続きの理解を深めるための授業方略の開発にとりかかった。実験手続きとしては実験操作の前に測定を行う実験手続きを対象とし、公立小学校第6学年の児童152名を対象に、児童による実験計画の思考の度合いの異なる3実験群を構成し授業を行った。その結果、児童自身が実験を思考する場面と、教師が適切な指導を行う場面からなる指導方略を用いると、実験手続きに対する児童の理解が深まることが明らかとなった。次に、授業で取り上げる実験によってどの程度児童の理解の程度が異なるのかを調査した。ここでは対照群を設定する実験として種子の発芽条件を調べる実験を取り上げ、水を与える条件だけでなく水を与えない条件を授業において取り上げることの重要性を調査した。公立小学校第5学年児童136名を対象に授業を行った結果、水を与えない条件を取り上げて授業を行うことで、発芽における水の必要性に関する理解が深まることが明らかになった。今後さらにこの研究を発展させることで実験を計画する活動の学習効果が明らかになり、仮説の形成への影響についても効果が得られることが期待される。
All 2019 2018
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)
Journal of Research in Science Education
Volume: 59 Issue: 3 Pages: 325-334
10.11639/sjst.18018
130007631824
Volume: 59 Issue: 3 Pages: 335-343
10.11639/sjst.18054
130007631921