Project/Area Number |
18H00290
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
2170:Materials engineering, chemical engineering and related fields
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Research Institution | 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
下田 修 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所, 警察研究職員
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Project Period (FY) |
2018
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2018)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2018: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | タッチサンプル / 蛍光可視化 / p-DMAC |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な事件において、被害者、被疑者の相互接触により、それぞれの着衣から皮膚接触痕を特定できれば、効率よい確度の高いDNA鑑定資料となりえる。このことから、立証上重要な皮膚接触痕跡(タッチサンプル)を蛍光可視化できる検出試薬の開発及び検出システムの構築をめざした。呈色試薬反応に用いられている試薬の中で尿斑検査試薬として、尿素中のアミンやアミノ酸に特異的に反応するp-ジメチルシンナムアルデヒド(以下、p-DMAC)を検討した。本検査法を用いる際、尿素中のアミンと本試薬の脱水反応を促進させるため、強酸下で行う必要があるが、DNA鑑定資料として検査を行う場合、強酸の影響により細胞を破壊し、DNA鑑定に支障が生ずる。このことから、強酸を用いることなく、着衣等から皮膚接触痕を顕在化させ、DNA鑑定に影響のない新たな検出法を検討した。 本試薬を昇華させ付着させるために加熱ガス化等検討したが、試薬を均一に検体に付着させることが難しい状況であった。そこで、少量のアセトンに懸濁させたp-DMAC溶液とし、体液を洗い流さないシリコンオイルに分散させることで直接、着衣等に噴霧することができるようになった。ニンヒドリン同様、反応時間はかかるものの、ポリエステル着衣では2時間以上静置しておれば、青色LEDにより皮膚接触痕の蛍光可視化が確認でき、検体の材質によるが噴霧後2,3日で蛍光強度が最大に至り、6日以上で蛍光の減衰が確認できた。また、着衣等のバックグラウンド蛍光を抑えるため、励起光を450~530nmの間で可変させることも必要であり、バックグラウンド蛍光を抑えた指痕等の蛍光可視化が行え、画像処理ソフトによりRGBを分離抽出することで、さらに鮮明な皮膚接触痕として確認することができた。さらに、生体資料を付着させたタッチサンプルにおいて、p-DMAC処理群と処理なし群のヒトDNA定量値に有意な差はなく、DNA鑑定に影響がないことも確認した。さらに、皮膚接触痕を蛍光可視化させるシステムを構築し、DNA鑑定資料としてサンプリングを終えた検体については、洗濯等の洗浄による還元も確認できた。 本研究により、p-DMACスプレーとして商品化を行い、本スプレーがタッチサンプルに有効であることまた、DNAに影響のないことを学会及び論文にて報告を行った。
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