トラマドールと主代謝物の血中動態と臨床効果に及ぼす薬物代謝酵素の遺伝子変異の影響
Project/Area Number |
18H00398
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
3180:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 達也 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2018)
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Budget Amount *help |
¥530,000 (Direct Cost: ¥530,000)
Fiscal Year 2018: ¥530,000 (Direct Cost: ¥530,000)
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Keywords | トラマドール / CYP2D6 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
トラマドール(TRM)は、肝臓のCYP2D6により活性体であるO-脱メチルトラマドール(ODT)に代謝され、CYP2B6およびCYP3A4/5によりN-脱メチルトラマドール(NDT)に代謝される。さらに、ODTとNDTはN, O-脱ジメチルトラマドール(NODT)に代謝される。そこで、本研究ではがん患者におけるトラマドールとその脱メチル代謝物の血中動態に及ぼすCYP2D6、CYP2B6およびCYP3A5の遺伝子変異の影響を評価した。 対象は浜松医科大学医学部附属病院において、がん性疼痛に対して経口TRMによる治療を行った70名の患者とした。経口TRMを開始して4日以上経過した朝の内服前における血中TRM、ODT、NDTおよびNODT濃度をLC-MS/MS法を用いて測定した。また、CYP2D6*2、*5、*10、*14、CYP2B6*6およびCYP3A5*3遺伝子型はPCR-RFLP法およびlong PCR法により判定し、上記以外を*1とした。CYP2D6については、*1/*1、*1/*2、*1/*5、*1/*10、*1/*14、*2/*2、*2/*5、*2/*10および*2/*14をnormal metabolizer(NM)群、*5/*10、*10/*10および*10/*14をintermediate metabolizer(IM)群、*5/*5、*5/*14および*14/*14をpoor metabolizer(PM)群として分類した。 TRMの血中動態に及ぼすCYP遺伝子型の影響を評価したところ、CYP遺伝子型はCYP2D6*2(4.3%)、*5(5.7%)、*10(43.6%)、*14(5.9%)、NM(64.3%)、IM(34.3%)、PM(1.4%)、CYP2B6*6(22.9%)およびCYP3A5*3(72.9%)であり、CYP2D6遺伝子型の血中TRM濃度への影響は認められなかったが、血中ODT濃度とその代謝比(ODT/TRM)は、CYP2D6 IM+PM群でNM群より低かった(P=0.002、P=0.023)。対照的に、血中NDT濃度とその代謝比(NDT/TRM)は、CYP2D6 IM+PM群でNM群より高かった(P=0.001、P=0.001)。また、CYP2B6およびCYP3A5の遺伝子多型によるTRMの血中動態への影響は認められなかった。 本研究結果より、CYP2D6遺伝子型は、TRM代謝経路の変化を介してODTとNDTの血中濃度に影響を及ぼすが、CYP2B6とCYP3A5遺伝子型は影響を及ぼさないことが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)