Outline of Annual Research Achievements |
本検討ではCDDP-induced nephrotoxicity(CIN)予防で近年汎用されているショートハイドレーション法における最適な経口ハイドレーションの探索を目的とした. 対象はCDDP+エトポシド, ビノレルビン, ペメトレキセドを投与された肺がん患者123名とした. 経口ハイドレーションには経口補水液(Oral Rehydration Solution ; ORS)を推奨し, 化学療法開始日から3日間ORSを1日1L飲用し, その後は可能な限り1日1Lの飲水(種類は問わない)とした. 本研究ではG2以上の血清クレアチニン(Cr)値の上昇をCINと定義した. 全患者123名のうち, CINが出現した患者は15名(12.2%)だった. 対象患者のうち45名(36.6%)が治療途中でORSの摂取を中止した. その中止理由の全てが悪心・食欲不振によるものであり, その際には個々の症例の状況に応じて他の飲料あるいは電解質輸液の投与ヘハイドレーションを変更した. ORS中止患者でのCINの出現数は5名(11.1%)であり, ORS完遂患者(10名, 12.8%)と差は認められなかった. 血清Cr値の変動度合いはORS完遂患者で0.16±0.16mg/dL, 中止患者で0.12±0.1mg/dLであり差は認められなかった. また, CDDPの投与に伴い血清Na値が6.1±3.1mEq/L, 血清K値が0.41±0.45mEq/L, 血清Cl値が6.68±3.38mEq/L, 血清Ca値が0.48±0.34mEq/L低下したが, ORS完遂患者とORS中止患者間でこれら血清電解質の変動に有意な差は認められなかった. 本検討では経口ハイドレーションとしてORS継続の必要性を証明するには至らなかった. 今後はORS摂取患者と未摂取患者間での比較を行い, 経口ハイドレーションとしてのORSの必要性を検討予定である.
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