Outline of Annual Research Achievements |
タクロリムス徐放製剤使用患者の拡大を目的にタクロリムス徐放製剤の脱カプセルの可否、適切な保存方法について検討を行った。 脱カプセルしたタクロリムス徐放製剤を1包あたり5.0mg(成分量として)秤量した後、グラシン製の分包紙を用いて分包を行い、各保存条件下における製剤学的安定性について検討を行った。各保存条件は、①冷所/遮光下、②冷所/散光下、③室温/散光下とし、保存期間は2週間とした。 徐放性は、日本薬局方溶出試験法第2法(液量900mL、回転数50rpm)を用い、pH4.5の緩衝液中の経時的なタクロリムス濃度の変化によって確認することとした。タクロリムスの定量方法は、高速液体クロマトグラフィーを用いた内標準法にて測定し、タクロリムスの残存率を評価した。 各条件でタクロリムスの溶出量の顕著な変化は認められなかった。脱カプセル後、2週間後ではpH4.5の条件では、安定な徐放性を示すことが示された。 今回の結果は、移植後の拒絶反応抑制に必須となる免疫抑制剤の使用の幅を広げ、移植医療のさらなる発展に寄与する結果であると考えられる。 しかし、本研究はタクロリムス徐放製剤の溶出性にて検討された3つのpH条件(pH2.0, 4.5, 6.0)のうち1つの条件のみの検討であり、タクロリムス徐放製剤の使用拡大のためには2週間の安定性のみでは不十分である。 以上のことから、他のpH条件でも同様な徐放性を示すことを確認し、長期間保存した場合の製剤学的安定性について検討する必要がある。
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