Outline of Annual Research Achievements |
研究背景及び目的 小児慢性疾患により生じた運動障害は永続的であり, 上位中枢神経障害による痙縮や筋力低下に伴い歩行障害などの運動障害を呈する。装着型動作支援ロボットであるロボットスーツHALは, 装着者の意図に合わせて随意運動を支援する機構を有するロボットである。本研究では, 小児患者に対するHALを用いたロボットトレーニング(以下, HAL介入)に関して, HALの適応と安全性の検証, 単回装着における即時効果を検討したのち, 継続介入の効果について検討した。 研究方法 第一研究は小児患者25名を対象とした。HAL介入は1回の上限を20分, 各症例1回実施した。介入前後の歩行速度, 歩幅, 歩行率, 単脚支持率, 股関節・膝関節角度を計測した。第二研究は小児患者9名を対象に計12回継続介入を実施した。第一研究の評価項目に加え, 歩行持久性, 下肢筋力, 粗大運動能力, 生活機能, 主観的評価について介入前後に計測した。 研究成果 第一研究では, 小児患者へのHAL介入中に重大な有害事象は認めず, HALを用いた介入の安全性が確認された。また, 介入前後で歩行速度や歩幅, 1歩行周期における単脚支持率や股関節, 膝関節角度といった歩行機能に改善を認めた。第二研究では, 歩行機能, 歩行持久性, 粗大運動能力, 主観的評価において改善が認められた。継続介入では単回介入での歩行機能の改善に加え, 歩行持久性や粗大運動能力, 主観的評価においても改善が認められた。つまり, 歩行機能への効果が歩行持久性への改善に反映するには一定の継続した介入期間を要することが示された。生来の障害により, 正常な運動イメージが未確立な小児患者においても, HALを用いることで最適な筋出力と運動方向を伴った動作を繰り返し実施できた。本研究より, 歩行機能や歩行持久性, 粗大運動能力が改善し, 小児患者に対するロボットトレーニングの有効性が示された。
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