Project/Area Number |
18H00633
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
児嶋 由枝 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70349017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 規久朗 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30283849)
秋山 聰 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50293113)
谷古宇 尚 北海道大学, 文学研究院, 教授 (60322872)
益田 朋幸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257236)
志邨 匠子 秋田公立美術大学, 大学院, 教授 (00299926)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥16,510,000 (Direct Cost: ¥12,700,000、Indirect Cost: ¥3,810,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2018: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
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Keywords | キリシタン / イエズス会 / パリ外国宣教会 / かくれキリシタン / 南蛮美術 / カトリック宗教改革 / 外国宣教会 / 南蛮 / トレント公会議 / 対抗宗教改革 / 生月 / キリシタン美術 / 大航海時代 / 殉教図 / マカオ / イエズズ会 / 生月・平戸 / 外海・五島 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年9月に長崎県内で実施した合同調査をふまえ、各自が国内外で研究調査を進めた。特に、トレント公会議後のカトリック教会の指針を反映したキリシタン図像と日本のキリシタン独自の図像との分別に関する問題に焦点をあてた。キリシタン美術には、明らかに西欧起源の図像、西欧キリスト教の図像と日本在来の宗教図像との混合、そして、日本在来の宗教図像のキリスト教への転用など、さまざまな形態がみられ、また、明確に区分すべきではない例も数多く存在する。その背景となる各時代や地域の社会や文化、宗教の状況に関して、各自の専門分野から考察を行った。 10月、11月には、ERC(European Research Council)設立のミュンヘン大学の研究グループSACRIMA(The Normativity of Sacred Images in Early Modern Europe/西欧近世における聖像の規範)とともに、共同セミナー/講演会を実施した。このプロジェクトのテーマは、(Early Modern Sacred Images in Japan and Europe: Contact, Comparison, Conflict/近世ヨーロッパと日本の聖なるイメージ)である。10月にはミュンヘン大学で、そして11月には早稲田大学で実施したが、日本からは研究分担者や国内外の研究協力者のほか、早稲田の学生も発表を行った。トレント公会議以降の西欧カトリックの聖像、そして日本のキリシタンの聖像における規範と禁忌について協議をした。早稲田で開催されたセミナーには数多くの聴衆が出席し、広く問題を共有する機会となったことも特筆すべきであろう。なお、これには、DAAD(ドイツ学術交流会)-早稲田大学パートナーシッププログラムの共催を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、16世紀から19世紀にかけての日本における西洋宗教美術受容史の再構築を目指す新しい試みであると同時に、対象が広範にわたることも事実である。本研究期間内で全てを解明することは当然のことながら困難であるが、これまで全く研究されていなかった分野も含めて、最終的に大まかな見取り図を提示することを目指している。こうした見地にたって、2019年度は、以下3点を軸に調査を進めた: 1)トレント公会議後のカトリック聖像における規範とテキスト;2)長崎を中心とした日本のキリシタンならびにかくれキリシタンの図像とトレント公会議以降のカトリック聖像の図像の比較;3)東アジア(特にマカオとマニラ)における宣教美術図像とトレント公会議以降のカトリック聖像の図像の比較。 こうした各自の研究に加えて、2019年度からはミュンヘン大学の研究グループSACRIMAと共同プロジェクト「近世ヨーロッパと日本の聖なるイメージ」をすすめている。聖像における規範と禁忌という問題について、より多角的な視点から取り組む体制がととのったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度から研究期間の後半に入る。今後は、公開の研究会や研究メンバーの海外での学会発表を通して、これまでの研究の経過報告を進める予定である。同時に、各メンバーが個別に進めている研究をまとめていく。 日本における西洋美術受容については従来、明治期の文明開化・欧化主義を基調にした政府主体の洋画導入を中心に議論されることが多い。そして、安土桃山時代から江戸初期における洋風画や江戸期の蘭画を対象とする研究は、いわば挿話のように個別事象として論じられる傾向にある。これに対し本研究は、16世紀から19世紀にかけての西洋宗教美術の受容とその変容という、もう一つの西洋美術受容の系譜を再構築することを試みるものである。ただ、「進捗状況」でも言及したように、研究対象が広範であるためにすべてを明らかにすることは難しい。本研究においては最終的に大まかな見取り図を提示することを目指している。
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