大学の研究資源獲得と研究成果創出・社会還元に関する決定要因の分析
Project/Area Number |
18H01029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09050:Tertiary education-related
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
隅藏 康一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (80302793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古澤 陽子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (10619183)
枝村 一磨 神奈川大学, 経済学部, 助教 (20599930)
吉岡 徹 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 講師 (60771277)
高橋 真木子 金沢工業大学, イノベーションマネジメント研究科, 教授 (70376680)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2019: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2018: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
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Keywords | イノベーション / 大学 / 産学連携 / 研究資源 / 社会還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学が研究資源を獲得し、それにより研究活動を活性化し、学術的インパクトを創出するとともに、研究成果を産学連携により社会還元することで経済的・社会的インパクトを創出するためには、大学においてどのような体制整備を進めればよいのか。これは学術上興味深いものであると同時に、実務上の要請も大きい問いである。この問いに答えるには、適切なデータセットを構築することが必要である。研究代表者の隅藏は、文部科学省の「産学連携調査」の結果に注目し、平成15年度から直近年度までのデータを組み合わせて本研究のデータセットの核として用いることを考えた。その上で、本研究の目的を達成するために、総務省の科学技術研究調査、大学の財務データ、論文データ、特許データ等と接続し、分析に用いるという研究計画を立案した。分析を実施するために必要となる基本的なデータセットの構築を行い、産学連携調査の全調査項目のパネル化を行うとともに、大学財務データ、ならびに総務省が提供する科学技術研究調査のデータ(研究者、研究補助者、技能者、研究事務その他の関係者、などの数に関するデータが含まれている)とも接合した。2020年度は、経済的ショックが生じた状況下で産学連携、特に大学と企業との間の共同研究にどのような影響がもたらされるのかにフォーカスし、分析を進めた。その結果、リーマン・ショックが共同研究受入額にもたらした影響は、私立大学よりも国立大学において、比較的大きいものであったことが分かった。また、経済的ショックによる共同研究受入額への影響は、研究活動に関してトップ層の大学にとってはさほど大きくないが、その次の層の研究規模の大学に最も深刻な影響を及ぼす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
経済的ショックが局所的でなく世界的規模で生じた過去の例として、2008年9月の、リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発する国際金融危機、いわゆるリーマン・ショックを挙げることができる。その際に、日本の大学と企業の共同研究にどのような影響が生じたかを、「産学連携調査」に基づくデータセットを用いて分析した。具体的には、日本の各大学の、国内企業からの共同研究受入額(直接経費+間接経費)ならびに共同研究受入件数について、2006年度から2018年度までのデータに基づいて分析した。 その結果、共同研究受入額が減少した大学の割合は、私立大学よりも国公立大学で大きくなっており、増加した大学の割合は、私立大学よりも国公立大学で小さくなっていることが分かった。このことから、リーマン・ショックが共同研究受入額にもたらした影響は、私立大学よりも国立大学において、比較的大きいものであったと考えられる。また、経済的ショックによる共同研究受入額への影響は、研究活動に関してトップ層の大学にとってはさほど大きくないようであるが、その次の層の研究規模の大学に、最も深刻な影響を及ぼす可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトでは、今後、主に以下のような調査研究を実施する。 第一に、経済的ショックの産学連携への影響の分析を実施する。経済的ショックにより日本の産学連携がどのような影響を受けるか、特に、各大学におけるどのような要因が、経済的ショックにより大きな負の影響を受けることにつながるのかについて、さらに分析を進める。 第二に、産学連携が研究生産性にもたらす影響の分析を実施する。論文生産性に焦点をあて、産学連携を高頻度で実施している大学/研究者とそうでない大学/研究者との比較を行い、産学連携が研究生産性にもたらす影響を明らかにする。その上で、どのような場合に産学連携が研究生産性を高め、どのような場合に低下させるかを明らかにする。 第三に、研究支援人材が大学の研究力や産学連携にもたらす影響の分析を実施する。大学におけるURAなどの研究支援人材に着目し、こうした人材に関する変数が、産学連携活動、外部研究資金獲得、論文生産性、知財生産性、研究力、組織能力などの変数との間で、どのような関係性を有するのかを分析する。各大学が研究力や組織能力を高めてゆくために、どのような組織的対応が必要であり、そのためにどのような人材の獲得が必要であるのかを明らかにし、今後の各大学における取り組みのためのインプリケーションを得る。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)