Project/Area Number |
18H03646
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 8:Sociology and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉見 俊哉 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (40201040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 明彦 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (00333542)
渡邉 英徳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00514085)
北田 暁大 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (10313066)
宇野 求 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (20261935)
小泉 秀樹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30256664)
中島 直人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30345079)
小林 正美 明治大学, 理工学部, 専任教授 (70247146)
毛利 嘉孝 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 教授 (70304821)
中村 政人 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (80361749)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥37,440,000 (Direct Cost: ¥28,800,000、Indirect Cost: ¥8,640,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
Fiscal Year 2020: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
Fiscal Year 2019: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2018: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | 創造都市 / オリンピック / コンタクトゾーン / メガイベント / 国際比較 / コンタクト・ゾーン / ジェントリフィケーション / クリエイティブ・シティ / カルチュラル・ヘリテージ / カルチュラル・スタディーズ / グローバリゼーション / 世界創造都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度以来、若手研究者チームと分担研究者チームの2つが並行して研究会と議論を重ねてきた。特に若手研究者は、「ポスト2020の東京をいかに考えるか」という問題意識から、上野・秋葉原・神保町という都心北部地域における都市の変容を探究してきた。しかし、2020年3月に新型コロナウィルス感染症の拡大が深刻化し、実際の都市のフィールドでの調査研究や対面での研究会開催がきわめて困難になった。コロナ禍は2021年も収まらず、2020年から1年延期されて21年7月に開催された東京オリンピックは、日本社会が抱え込んできた様々な問題点を一挙に露呈させるような困難極まる開催となった。本研究は、まさにこのコロナ禍でのオリンピックの強行的な開催自体に、現代日本が抱えている諸問題を考える重要な鍵があるとの認識に達し、2021年4月から若手研究者チームにおいて東京オリンピック2021の開催過程とその国内外メディア報道についての集中的な分析を進めた。社会全体が紛糾しながらオリンピック開催に向かっていく過程を詳細に記録しつつ、それを同時代的に分析したわけである。この記録と分析の作業は大きな成果を生み、報告書のほか、河出書房新社から2021年度の研究の成果として吉見俊哉編著『検証 コロナと五輪:変われぬ日本の失敗連鎖』(河出新書、2021年)を出版することができ、反響を呼んだ。同書は、2021年の東京オリンピックがどのように延期の末、無理筋の開催となり、この過程においてどのようなメディア報道や世論、海外の視点が絡まりあっていったのかを総合的に検証した数少ない本格的研究書であり、今後、日本でのオリンピックの歴史について研究する者が必ず踏まえなければならない貴重な先行研究となると自負している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年3月から深刻化した新型コロナウィルス感染症の感染拡大と、それに伴って行われた様々な感染予防のための社会的行動の制限が2021年度も続いたことにより、本プロジェクトも大きな打撃を受けた。まず、若手研究者を中心に組織しようとしていた対面での研究会やフィールドワークはほとんど実施不能になってしまった。すべてをオンラインに切り替えざるを得ず、現地での調査や対話が重要な意味を持つ部分の研究では、大きな進捗を示すことができなかった。その反面、2021年に開催された東京オリンピックをめぐる様々な社会過程やメディア言説については、こうした困難な状況を逆手に取る仕方で集中的かつ総合的な分析を進め、大きな成果を得ることができた。本プロジェクトが2021年度に進めた東京オリンピック2021についての研究は、このオリンピック開催をめぐってなされた社会学やメディア研究の分野からの批判的検証のなかでも最も価値ある共同研究になったと自負している。したがって、東京オリンピックについての研究という面では、本研究はすでに十分な成果をあげている。残されている課題は、表題に掲げてきた「ポスト・オリンピック期の東京における世界創造都市」の形成に関する研究の部分である。この点に関しては、すでに2020年11月に、オンラインで国際シンポジウム「東亰新論:オリンピックの後にあったもの」を開催したわけだが、イベントとしての東京オリンピックの分析と並行して進めるはずだった、1960年代の都市改造とその後の開発、近年のジェントリフィケーションの中で変容してきた東京都心の諸都市空間についての批判的分析が十分な形でまとめられていない。今後は、東京オリンピック自体についての分析はすでに成果が出たので、むしろその外側にあった東京の都市空間の変容についての考察を深めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年3月から深刻化した新型コロナウィルス感染症の感染拡大と、それに伴う社会行動の制限が2021年度も続いたことにより、本プロジェクトも大きな打撃を受けた。しかし、2021年に開催された東京オリンピックをめぐる様々な社会過程やメディア言説については、こうした困難な状況を逆手に取る仕方で集中的かつ総合的な分析を進め、大きな成果を得ることができた。したがって、本研究はイベントとしての東京オリンピックに関する研究という面ではすでに十分な成果をあげている。その一方、「東京における世界創造都市」の形成に関する研究という面では課題を残していることになる。すでに本研究では、コロナ禍の最中にオンラインで東京都心北部の都市空間の変容をテーマにした国際シンポジウムを開いているが、その成果を十分には深められていない。したがって、今後の研究課題は、21世紀の東京における東京の都心空間の変容についての調査分析を深めていくこととなる。すでに説明してきたように、本研究のこの側面は、とりわけ東京文化資源会議の東京都心北部をめぐるプロジェクトと連携して進められてきており、今後は一層、そうした連携を強化する仕方でこの方面での研究を推進していくつもりである。
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