太平記評判書および関連書から見る楠正成像の歴史的展開
Project/Area Number |
18J00385
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Research Fellow |
山本 晋平 関西学院大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2018: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 恩地左近太郎聞書 / 太平記秘伝理尽鈔 / 『恩地左近太郎聞書』 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、第一に『恩地左近太郎聞書』(『恩地』)について、前年度に調査した林原美術館所蔵本の一定の調査を踏まえ、研究報告を行った。当該報告では、林原美術館所蔵本の本文が、大阪府立中之島図書館所蔵本や国文学研究資料館山鹿文庫所蔵本などの系統に近いと考えられること、『恩地』が『理尽鈔』の思想内容と対応することを指摘した。また、大部の『理尽鈔』の要諦が一冊に集約されていること、本来は『理尽鈔』と一体でありながら独立的体裁を取り、近代に及んで独自に流布・享受されたことの重要性なども指摘した。この他、『恩地』の生成・成立時期の推定や、本書独自の楠正成の言動など、詳細に触れ得なかった点もあるため、これらを整理の上、次年度に学術誌等への投稿を目指す。 第二に、楠正成関連兵書群の調査・収集については、『楠判官兵庫記』(明暦元年版本)の複写を入手した。また、名古屋市鶴舞中央図書館が所蔵する寛文七年版本『闕疑兵庫記』と、『楠兵庫巻』(別名「満祐家書」「楠軍記」)と題する写本を閲覧・書誌調査の上、写真撮影を行った。これにより、一部原本の閲覧調査を残すものの、『桜井書』・『楠正成一巻書』・『楠判官兵庫記』の諸伝本を大方把握することができた。ただ、各書の精読にまでは着手できなかったため、次年度の課題とする。 他方、次年度対象の楠正成関連伝記群の『三楠実録』・『南朝太平記』(いずれも刊本)について、大阪府立中之島図書館所蔵の原本を閲覧・書誌調査の上、複写物を入手した。この他、本研究の対象外ではあるが、同館が所蔵する正成関連書についても閲覧・書誌調査の上、複写物を入手した。上記の二書を含め、いずれも冊数が多いため、データ化を含めた整理が完了次第、精読に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅れが生じている主な理由としては、林原美術館所蔵本『恩地』の典拠不明箇所の探索・特定に想定以上の時間を要した点にあると考えている。同本については『恩地』の他に複数の著作が収録されており、それらの多くは、すでに前年度の調査において『翁問答』等の中江藤樹関係著作や、『伝習録』等の陽明学・儒学関係の抜書類であることが判明した。しかし、なおも典拠不明の箇所を部分的に残していたため、引き続き探索を行い、その結果、ほぼ全ての箇所の典拠と考えられる文献を特定することができた。ただ、いずれも内題を伴わない(あるいは判然としない)抜書類であったことから、特定に時間を要してしまったため、やや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、林原美術館所蔵『恩地』中の僅かに残る典拠不明箇所については引き続き追究しつつ、まずは『恩地』の報告内容を詳細に整理し、学術誌等への投稿を目指す。そのうえで、おおむね収集を終えた楠正成関連兵書群について、『恩地』の分析内容を踏まえた比較分析を進める予定である。 『太平記評判私要理尽無極鈔』(『無極鈔』)については、なおも全容の把握に時間を要している。『楠判官兵庫記』や『闕疑兵庫記』の調査・収集したことにより、今後、これら二書を視角として『無極鈔』を分析することも有効と考えている。ただ、これらの正成像が『無極鈔』全体の内容とどのような関係にあるのかを踏まえることは不可欠であると考える点からも、引き続き『無極鈔』の丁寧な読解に努める。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)