ポスト植民地期ミクロネシアにおける歓待と社会秩序形成に関する人類学的研究
Project/Area Number |
18J01240
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural anthropology
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
河野 正治 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ポスト植民地期 / 伝統的権威 / 外部者 / 歓待 / ミクロネシア / 社会秩序 / 首長制 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポスト植民地期ミクロネシアにおける伝統的権威の存立をめぐる検討課題として、伝統的権威者である最高首長と外部者との相互行為に際した、首長の権威をめぐる緊張関係を指摘できる。本研究はそうした緊張の動態を捉えるうえで有用な「歓待」という概念を新たに主題化することにより、ミクロネシアの首長制に特有な社会秩序形成のあり方を人類学的に解明することを目的とした。とりわけ、首長制にもとづく文化的図式の存在を自明のものとみなす既往研究の限界を乗り越え、むしろ外部者への歓待という契機における行為と出来事の次元において、伝統的権威者をめぐる矛盾や齟齬がいかに表面化し、どのように社会秩序が再形成されるのかを明らかにすることを調査課題とした。 成果としての事例研究では、祭宴において外部者を歓迎する行為として、農作物を展示するという行為を取り上げ、これがいかに多様な文脈のなかに置かれているのかを検討した。そして、ヤムイモをはじめとする農作物の展示行為が、在来の美学として、外部者への歓待と共同体の集団意識をさまざまに価値づけることにより、自己と他者の関係づけを個々の状況に応じて創出すると指摘した。 本研究ではこうした事例分析における気づきから、歓待概念に関する理論的な検討も行った。そこでは、西洋哲学の歓待論が、分割不可能な自己と他者という西洋近代的な個人観を内在させるがゆえに、解消不能なアポリアという議論に向かうのに対して、民族誌的研究に基礎を置く人類学は、自己と他者の関係づけをめぐる多様な形態を抽出しうると指摘した。そのうえで、無条件の歓待と条件つきの歓待をめぐるアポリアとしてではなく、自己と他者をめぐる雑多な関係性を明るみに出すための発見的概念として、歓待概念を肯定的に位置づけるという研究の方向性を示した。この成果は『文化人類学』第85巻1号の特集企画「歓待の人類学」の特集序論として掲載予定である。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(22 results)