Formation of Everyday Life Heritage Collections and Relationship between People and Things: Case Studies of Noto Peninsula and Ifugao
Project/Area Number |
18J11034
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural assets study and museology (A)
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Research Institution | Kanazawa University |
Research Fellow |
川邊 咲子 金沢大学, 人間社会環境研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2019: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2018: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 地域民具コレクション / モノの来歴 / レジリエンス的機能 / 集合的記憶 / モノ資料のデータベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究対象地である能登半島とフィリピン・イフガオ州において、これまで収集してきたデータの補足と研究成果の地域への還元や今後の研究の方向性について検討するためのフィールドワークを行った。特に、イフガオ州においては4-5月にかけて約3週間現地に滞在し、各町で毎年行われるタウン・フィエスタにおいて民具がいかなる文化表象の場で使われどのような機能を果たしているのか観察を行った。また、両地域各一つのコレクションについては、これまでに調査した一点一点の民具のモノの来歴(モノの獲得・製造・使用・廃棄から収集・保存・活用まで)のデータを基に行ってきた資料目録の作成・編集を進め、現地においてデータを補足・確認するとともに、資料目録の活用についてコレクションの所有・管理者と話し合いを行った。 また、こうして作成された資料目録からデータベースを作成し、将来的にリンクト・オープン・データ (LOD)として共有していくための方法の検討も行った。これについては、国立歴史民俗博物館の特別共同利用研究員として1年間の研究活動を行い、修了の認定を受けた。 本年度の研究成果については、特に民具の収集・保存が持つ問題点について「集合的記憶」と「歴史」の視点から分析・考察を行った内容の論文を『月刊考古学ジャーナル』において発表した他、地域住民の地域学習用に作成された冊子『のと地域学』においては本研究内容に関する総説的な論文を発表した。さらに、国内外の学会や研究会において研究発表を行い、特にRoyal Anthropological Instituteの学会(RAI2018)においては、主に欧米研究者・博物館関係者に対し、日本のコミュニティ・ミュージアムの現状について情報提供するとともに、民俗資料コレクションが地域社会に対して持つ意味や機能について議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに能登半島とイフガオ州において行ってきたフィールドワークにおいて、現存する民具コレクションの現状と課題や収集された民具のモノの来歴に関するデータの採取(聞き取り調査・参与観察による)を完了することができた。2つの研究対象地域から採取したデータの処理・分析には、当初の計画で設定した時間よりも長い時間がかかってしまっているが、データの量が多いことを考慮し、より精密に結論を導き出すため、また地域に還元する資料台帳やデータベースをより完成度の高いものにするためには必要な時間の超過であったと考える。 さらに、国内外の学会や大学のゼミなどで研究発表を重ねたことにより、考察内容や研究結果から導き出す主張をより明確に方向付け構築することができ、研究目的の達成に向け前進することができた。また、研究成果の一部を『月刊考古学ジャーナル』に掲載したことに加え、地域住民の地域学習のための冊子『のと地域学』に本研究の総説的な論文を掲載し、本研究の内容・成果を研究対象地域の住民に向けて発信することができた。さらに、国立イフガオ大学で開催された5th Philippines-Japan Forum on Ifugao Satoyama Meister Training Programで研究発表を行い、研究対象地域の関係者や研究者らと研究内容について議論することができた。このように、地域住民や現地の関係者らに向け研究内容を発表したことが、地域民具コレクションの課題を現地で考えていくことにつながると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
能登半島とイフガオ州に現存する二つの民具コレクションについて、モノの来歴のデータを基に作成してきた資料目録・データベースを完成させ、それぞれのコレクションの所有・管理者と目録・データベースを民具コレクションや地域の情報発信のためにいかに活用するべきか、その方針と方法についての議論を進める。その際、地域の現場への研究成果の還元と、地域に存在する様々な意見やアイディアを収集することを目的とし、現地住民とのワークショップを行い、地域民具コレクションの活用やコミュニティ・ミュージアムの在り方、文化資源の活用・発信を通し地域の暮らしを豊かにしていく方法について協議していく予定である。 また、これまでの研究成果をまとめ、博士論文として発表する他、これまでに学術雑誌等で発表していない研究成果の内容について投稿・発行できるように執筆活動を続けていく。国際学会等にも引き続き積極的に参加し、特に国際学会では博物館や地域の民俗(民族)資料コレクションの活用・情報発信についての国際的な知見を得るとともに、日本やアジアの地域の現状を発信していく。 さらに、引き続き人文情報学の分野の研究会等にも参加し、目録・データベースの作成や民具などの民俗(民族)資料のデータベースをリンクト・オープン・データ (LOD)として共有するための方法を検討するための情報・意見交換を行う。また、本研究で調査した民具コレクションのデータだけでなく、国内外に存在するデータやその資料目録・データベースの作成や情報発信に関する課題・解決策について様々な研究者や関係者らと協議し、今後、国際水準に合わせたモノ資料のドキュメンテーション・スタンダードを日本やアジア地域において構築していくための土台作りを目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)