アウグスティヌスにおける性・結婚・身体の研究―人間学的視点から
Project/Area Number |
18J11836
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
渡邉 蘭子 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 情欲 / 救済 / 恩恵 / 現世 / 来世 / 身体 / 意志 / 結婚 / 性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目では魂の分裂の解消によって情欲が治癒し、現世における身体の改善が説かれた点をペラギウス論争期の著作によって明らかにしたが、そうした著作においてはその点は中心的な主題ではなかった。しかし、2年目の研究では、同時期になされた説教である『禁欲について』においてその点が中心的な主張として強調して語られていることが明らかになった。ここから、現世における情欲の治癒という主張は二次的、補足的なものではなく、語る場によっては非常に強調される点であることがわかった。 さらに、現世における情欲の残存と情欲の前進的治癒がどのように関係しているのかについて、特に自由意志と恩恵の関係について語られているセミ・ペラギウス派との論争期の著作を分析する中で一つの手がかりを見出した。アウグスティヌスは情欲の悪を「弱さinfirmitas」として捉えており、神はその弱さにおいてこそ働く、と主張していたのである。すなわち、情欲の悪は現世において残っているが、それゆえにこそ人間は自分の無力さを自覚し、神に謙虚により頼むことができる。そうして自己の弱さを悔い改める者にこそ、神は働き、情欲の悪が治癒されていくという。このようにアウグスティヌスは、情欲の悪が残存するということを静的な、変化しないものとして捉えているのではなく、そこで人間の意志と神の恩恵が相互に働きあうことで、動的に変化していくものとして捉えていた。 上述した点については、特にオックスフォード国際教父学会において研究発表を行った。これまでアウグスティヌスはその情欲の悪の主張により、現世の救済を限定的・固定的に捉えていると考えられ、それが後代の思想にまで影響を与えたとされてきた。本研究はそうしたアウグスティヌスの救済観を捉え直すことで、西方キリスト教の救済観の再考を促すことができたと思われる。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)