腱/靭帯マスター遺伝子Mkxを用いた3次元張力負荷培養による人工腱/靭帯組織作製
Project/Area Number |
18J13487
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Orthopaedic surgery
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Research Fellow |
片岡 健輔 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2019: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2018: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | Mohawk (Mkx) / 腱 / 靭帯 / 組織工学 / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画においては、Mkx定常発現 C3H10T1/2を3次元培養しさらに張力負荷培養することにより、人工腱・靭帯組織の作成を提案した。腱・靭帯は再生能力が乏しい組織であり、その発生過程の詳細も未だ十分に明らかでは無い。人工腱・靭帯組織の構築はその構築過程において、腱の発生過程を部分的にin vivoで明らかとすることができ、さらには整形外科学分野において必要な医療材料である移植可能な人工腱・靭帯組織作成方法への示唆をすることが期待出来る。 本研究期間においては申請書年次計画1年目において記載した『Mkx 定常発現 C3H10T1/2 を用いた 3 次元培張力負荷培養系確立』を目的として、人工腱・靭帯組織に課す伸展負荷を1日ずつ徐々に増していく方法を用いて作成に最適化したプロトコルを見出した。続いて最適化したプロトコルを用いて作成した人工腱・靭帯組織の電子顕微鏡における構造の詳細な解析を実施した。Mkxを定常発現したC3H10T1/2を3次元張力負荷培養したサンプルにおいてはMkxを定常発現していないコントロールサンプルに比較して人工腱・靭帯組織のコラーゲンの配向性が向上していることを明らかとした。さらに興味深いことに、Mkx 定常発現 C3H10T1/2 を3次元張力負荷培養することにより、通常のコラーゲン分泌様式ではなく fibripositor様 の特殊な分泌様式でコラーゲンを分泌しているという知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間においては申請書年次計画1年目において記載した『Mkx 定常発現 C3H10T1/2 を用いた3次元培張力負荷培養系確立』を目的として、新規に導入した細胞伸展装置シェルパプロを用いて伸展条件の条件検討を行った。作成条件を行う上で申請者は生体における力学負荷に着目し、人工腱・靭帯組織に課す伸展負荷を 1 日ずつ徐々に増していく方法を用いて作成に最適化したプロトコルを見出した。 続いて最適化したプロトコルを用いて作成した人工腱・靭帯組織の電子顕微鏡における構造の詳細な解析を実施した。Mkx を定常発現した C3H10T1/2 を3次元張力負荷培養したサンプルにおいては Mkx を定常発現していないコントロールサンプルに比較して人工腱・靭帯組織のコラーゲンの配向性が向上していることを明らかとした 最後にコラーゲンの配向性が向上する原因を明らかとするため電子顕微鏡を用いた解析を続けたところ、興味深いことに、Mkx 定常発現 C3H10T1/2 を3次元張力負荷培養することにより、通常のコラーゲン分泌様式ではなく fibripositor様の特殊な分泌様式でコラーゲンを分泌しているという知見を得た。fibripositor様式は細胞内で巨大な小胞を構築しその内部でコラーゲンを重合させて細胞外に分泌する様式で、通常の分泌様式であるプロコラーゲンを分泌し細 胞外でコラーゲンを重合させる様式とは大きく異なっている (Canty EG et al., J Cell Biol., 2004)。先行文献において fibripositor 様式は配向性を有する胎児期の腱細胞特異的なコラーゲン分泌様式であることが報告されており、本研究期間で作成したプロトコルが生体の腱/靭帯組織の発生過程を部分的に模倣することができていることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は現在までに人工腱・靭帯組織の詳細な条件検討を経て、腱/靭帯組織の発生過程を部分的に模倣した人工腱・靭帯組織を作成に成功している。しかしながら、その強度や生体内安定性などバイオマテリアルとして用いるには解決しなければいけない課題が残されている。次年度においてはこれらの課題を克服し、人工腱・靭帯組織のさらなる最適化された作成条件を検討するために、生物学的観点と組織工学的観点の双方の視点より解決方法を探索していく。
・生物学的観点からは年次計画に記載した、培養に必要な期間の検討を実施し、現在の1週間より長期の培養による人工腱・靭帯組織の形態の変化を検討する。また、培養時の培地にコラーゲン形成を促進する因子を添加したり、現在用いているMkx 定常発現 C3H10T1/2に対して他の腱関連遺伝子をウイルスベクターで追加で導入するなど、改善の余地が残されている条件に関して検討を実施する予定である。
・組織工学的観点からは人工腱・靭帯組織の免疫原性を低減させるため、人工腱・靭帯組織の脱細胞化処理を検討する。脱細胞化の手法には界面活性剤処理、超高圧処理などが考えられる。さらに、組織の強度と生体内安定性を向上させるため、タンパク質架橋剤を用いて人工腱・靭帯組織の化学架橋を行うことを検討している。タンパク質架橋剤にはEDC/NHS、BDDGEなどが想定されており、これらの処理濃度や処理した場合の物性の変化を検討する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)