Project/Area Number |
18J13511
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
European literature
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武藤 奈月 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2019: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2018: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | フランス中世文学 / アーサー王物語 / 古代物語 / クレチアン・ド・トロワ / 語り / 物語(roman) |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き、主に二つの活動を行った。 まず、十二世紀の物語作者であるクレチアン・ド・トロワの作品における語りの技法の考察を行った。当時の物語では多くの場合、語り手が物語世界全体を俯瞰しつつ出来事を語る。対照的に、クレチアンは遺作『聖杯の物語』(1182年から1183年)において、聖杯伝説の起源となったグラアルを導入する際、意図的に謎を残した語りを用いたと指摘されてきた。しかしながら報告者は、『聖杯の物語』とクレチアンの最初の作品『エレックとエニッド』(1170年)における語りの比較検討を行うことにより、むしろクレチアンが、アーサー王物語を扱った当初から、語り手と登場人物の視点の交錯を用いて情報を制約された語りを実現しており、『聖杯の物語』でその技法を発展させたことを明らかにした。研究成果に関しては、『仏語仏文学研究』の第五十三号(査読有)に論文が掲載される。 また、クレチアンをはじめとするアーサー王物語の興隆以前、すなわち1150年代から1170年代に書かれた「古代物語」における「驚異」と語りとの関係について検討した。これらの作中で、「驚異」の根底にある「驚き」という反応を原義として持つ単語の分析を行った。特に今年度は、語りの技法や語り手の地位に着目するべく、「驚く」を意味する動詞群の用例を検討した。古代物語では、これらの動詞の主語が一人称となる割合が他の物語作品よりも高く、「私」が驚く/驚かないことに重点が置かれる。登場人物が自らの驚きを誇張的に表明するのとは反対に、古代物語の語り手は、これらの動詞を常に否定の定型句で用いる。これは自身の語る物語に対する制御を示している、あるいは、予想される「驚き」を共有し、聴衆と同じ次元に身を置いていると解釈できる。成果の一部は、2019年10月に開催された日本フランス語フランス文学会の秋季大会において口頭発表の形で発表した。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)