動的な側方圧縮に対する細胞システムの即時的応答の解析
Project/Area Number |
18J14678
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
本田 玄 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2019: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2018: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 細胞極性 / 細胞骨格系 / SCAR/WAVE複合体 / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロ流体デバイスを用いて、単一細胞に対してよく制御された物理的接触および圧縮を試みた際の細胞骨格系の再編成過程を定量的に解析し、細胞形態形成の機序を明らかにすることを目的とした。 細胞性粘菌は基質へのタンパク質のコーティングを特別必要とせず、非特異的に接着を形成することが可能であることから、物理的な接触を図った際に接着過程が関与して現象が複雑化することが考えられた。解析の単純化のため、基質の表面改変とコーティング手法を用いて細胞性粘菌の基質接着を促進および阻害する手法を検討し、これを確立した。次に、これらの手法により細胞の基質接着をおおきく増強あるいは抑制した際の細胞の形態と運動特性の評価を行った。この点については当初想定していなかった傾向が見られたため、時間をかけて解析を行った。結果として、細胞性粘菌の形態は基質接着強度に依存して変化し、接着が強くなるほど極性が安定化することが分かった。細胞骨格系を構成するアクチン、Arp2/3複合体、SCAR/WAVE複合体、イノシトールリン脂質系、低分子量GTPアーゼ、接着形成タンパク質の顕微鏡観察を行い、強接着条件におけるこれらの空間分布を特徴づけた。特に、樹状アクチンの形成を制御し細胞前端の仮足形成において重要であるSCAR/WAVE複合体の局在パターンが、細胞の形態変化と対応して接着強度依存的におおきく変化することが明らかとなった。これらの結果は細胞骨格系の可塑性を明瞭に示すものであるとともに、当該課題において基質接着の効果は度外視できない要因であり、目的の測定において注意深く扱う必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していなかった実験結果に対して詳細な解析を行ったことにより、計画していたデバイスの開発および測定にはやや遅れが生じた。ただし目標とする細胞形態形成機序の理解に関しては多くの示唆が得られているため、総合的に見ておおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
微細加工によって作製したマイクロ流体デバイスと、初年度において確立した細胞-基質間接着の促進および阻害の手法を組み合わせて、外からの物理的な負荷によって誘導される細胞骨格系の再編成とその時間応答性についての測定と評価を行う。これら実験的な解析から得られたデータをもとに単一細胞の形態形成に関する数理モデルを構築し、現象の再現を試みるとともに、数値実験からのフィードバックを取り入れつつ研究を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)