Spatiality of public housing in the urban renewal
Project/Area Number |
18J23311
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Human geography
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
石川 慶一郎 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2020: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2019: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 公営住宅 / 住宅政策 / 大都市圏構造 / 高齢者 / 東京 |
Outline of Annual Research Achievements |
戦後日本の住宅政策は、大都市圏郊外地域の形成に大きな影響を与えてきた。高度経済成長期には、公団・公営住宅からなる集合住宅団地が大都市圏郊外に開発され、世帯形成・拡大期の中流層の受け皿となった。また、住宅金融公庫は、当時の中流層の郊外での持ち家購入に寄与した。この背景には、最終的には郊外の持ち家に定着するという団塊の世代の画一的な住居移動と、高度経済成長期の郊外における私鉄の旺盛な住宅地開発があった。 戦後日本の住宅政策の3本柱であった公営住宅、公団住宅、住宅金融公庫に関する諸制度は、1990年代後半以降の一連の住宅政策改革のなかで大幅に見直された。行政から低所得層に直接供給される公営住宅に関しては、実質的な戸数削減が法的に可能になるとともに、戸数抑制が方針として打ち出された。また、入居世帯の所得制限は厳格化され、入居資格は、高齢者や障害者といった特定のカテゴリーをもつ世帯に限定されるようになった。戦後の公営住宅は、低所得層を中心としながらも、都市住民を広く対象とする住宅として位置づけられてきた。これに対して、現在の公営住宅は残余的な性格が強い。このような公営住宅制度の変容は、大都市圏構造にどのような影響を与えるのか。 1990年代後半以降の公営住宅団地では、高齢化の進展が顕著である。先行研究では、公営住宅の居住者特性が分析されており、公営住宅団地における若年者の転出と高齢者の転入増加が指摘されてきた(由井 1999; 久保園ほか 2010; 吉川 2010)。しかし、公営住宅の住民特性に住宅政策が与える影響は明らかにされていない。そこで本研究は、東京都を事例に、公営住宅の住民特性を明らかにするとともに、その要因を住宅政策の面から検討することを目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析結果からは、公営住宅集中地域における独居老人の集住が明らかとなった。また、公営住宅の建て替えに伴って、高齢単身者を対象とした住宅が供給されていることが明らかとなった。しかし、このような公営住宅の住民特性の変化が大都市圏構造とどのように関係しているのかについては、あまり興味深い結果が得られなかった。この理由としては、公営住宅自体の立地に変化がないためと考えられる。 そこで、1990年代後半以降の人口の都心回帰に焦点を当て、その要因を都心における住民特性と住宅供給の変化から明らかにすることにした。先行研究では、都心部の分譲住宅の居住者についての研究蓄積がある一方で、賃貸住宅居住者の動向については等閑視されている。バブル崩壊以降の東京都心部では、規制緩和政策を背景にワンルームマンションの供給が卓越していることが指摘されており(上野 2017; 藤塚 2017)、賃貸住宅が新たな都心居住者の受け皿となっていることは十分考えられる。このため、都心部における住民構成の変化を捉えるには、賃貸住宅居住者の動向に着目する必要がある。 2019年度には都心の民間賃貸住宅の供給過程を分析した。国勢調査の調査票情報と調査区地図を使用して、東京都中央区の民間賃貸住宅居住者の空間分布を分析した。その結果、1990年代後半以降の中央区では、民間賃貸住宅居住者は、隅田川右岸地域を中心に点状に増加していることが明らかとなった。また、民間賃貸マンションの1戸当たりの面積を比較すると、隅田川右岸地域は、埋立地の隅田川左岸地域よりも間取りの狭い住宅の割合が高かった。分析結果からは、東京都心部の中でも、隅田川右岸地域のような住商混在地域では、区画の狭い点状のマンション開発が行われていることが示唆された。この背景には、バブル経済崩壊以降の東京都心部における業務機能の縮小と規制緩和の住宅政策があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
都心部での人口回復を通したバブル経済崩壊後の都市構造の変化に対して、先行研究は新たな社会集団としての都心流入層の属性や、彼らが居住する住宅を明らかにしてきた(矢部 2003など)。しかし、 個人の住居移動が、人口の都心回帰というマクロな人口移動とどのように関係するのかは明らかにされていない。ライフコースの進展とそれに伴う住居移動が大都市圏構造を形成するという都市地理学の視点を採用すれば、個人のライフコースと住居移動の変化が人口の都心回帰に影響を与えうることを予想できる。郊外化を推し進めた多産少死世代と比較すると、団塊ジュニア以降の世代は、未婚期が長期化し、民間賃貸住宅居住が長期化していることがわかっている。大都市圏構造研究では、未婚期の住居移動は、都心周辺の民間賃貸住宅居住として位置づけられてきた。したがって、未婚期の長期化に伴い、未婚者の都心居住も長期化している可能性がある。東京圏を例にとると、都心3区では若年単身者の増加が顕著である。彼らの住居移動の特徴を明らかにし、人口の都心回帰とどのように関係するのかを明らかにする必要がある。そこで、2020年度には、都心に居住する若年単身者の住居移動を分析する。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)