欧米優生学説の成立の背景と日本社会への輸入の際の取捨選択に関する研究
Project/Area Number |
18K00106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | Fukushima Medical University (2019-2023) Higashi Nippon International University (2018) |
Principal Investigator |
本多 創史 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40528361)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2018: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
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Keywords | 思想史 / 比較思想 / 近代日本 / 優生学 / 遺伝学史 / 近代日本史 / 遺伝学 / 生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、単著(『近代日本の優生学-〈他者〉像の成立をめぐって』明石書店、2022年)の末尾で指摘した課題に関し、調査を開始した。 同書の末尾で以下のことを指摘した。すなわち、人間は、物理的な世界にではなく意味の世界に生きる存在であり、それ故、不断に、意味あるものと意味のないものとを分けざるを得ない。そうした人間から社会が成っている以上、社会の多数派にとって意味がないように見える「他者」が排除されることになるのは当然といえば当然のことである。優生学は、社会の多数派による「他者」の措定と排除の、象徴的な事例であると考えることができる。 このことを踏まえ、当初は、西洋の著名な哲学者による「他者」の措定と排除について、調査・研究をおこなう予定であった。まず、Hegelの著作や研究書を検討し、上のリサーチ・クエスチョンが妥当であるかどうか、考察をおこなった。その結果、妥当との確信を得るまでには至らなかった。 そこで、方針を転換した。Kantの論文“Versuch uber(uにはウムラウトがつく) die Krankheiten des Kopfes”やIrina Metzlerの著書“Disability in Medieval Europe”などを精読し、近代以前もしくは近代初頭の西洋において、障害(impairement)のある人々はどのような存在として認識されていたのか、知識の習得に努めた。 このことと並行して、近代以前の日本において、障害のある人々に関する先行研究を収集した。具体的には、生瀬克己『近世障害者関係史料集成』に収集されている文献や『古事記』の水蛭子に関する研究論文などである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
優生学に関する著作を発刊することができたから。 今後の研究方針について、大まかな見取り図を得ることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
優生学とは、近代以降における、障害のある人等を「他者」として措定し、社会からその存在を抹消することを企図するものである。本研究を通じ、近代の日本に輸入されてきた優生学の内容とその背景、その意義を明らかにすることができた。 今後は、近代以前の日本において、障害のある人々がどのように認識され、暮らしていたのかを、西洋の同時期と比較しながら、明らかにしていきたいと考えている。
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Report
(6 results)
Research Products
(8 results)