Taxidermy in contemporary art : Study on the relationships between human and animals.
Project/Area Number |
18K00191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森山 緑 慶應義塾大学, アート・センター(三田), 講師(非常勤) (20779326)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 現代美術 / 剥製 / 生命 / 写真 / 毛皮 / 狩猟 / 環境問題 / 展覧会 / 鑑賞体験 / データベース / 獣肉 / 美術史 / 動物学 / 倫理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、1970年代より剥製を用いて写真作品を制作し発表してきた今道子を中心に、調査を進めた。2021年に大規模な個展を神奈川県立近代美術館で開催した今道子は、剥製や魚介類など、生き物が命を終えたあとの姿を、白黒写真に撮影し作品としている。素材を収集し、それらを組み合わせて独自のオブジェを制作した上で、撮影を行うのが今氏の手法である。本研究では、被写体として剥製を用いる意味を検討した。 とりわけ作品に頻出する「眼」が、今道子の写真表現においていかなる意味を持つのか、同じく剥製を被写体とした写真作品を発表している村松桂との対比から考察した。さらに今道子が語る「宗教画のように神聖な」作品、あるいは「贖罪」とは、何を表すのか、わたしたちの身近にも存在する供養碑との関係からも検討した。 今道子には長時間のインタビュー取材に応じていただき、制作の動機や制作プロセスについて詳しく話を伺った。命の痕跡を印画紙に定着させる際に、もっとも重要視していることが、逆説的であるが「生き生きとした生命」の表現であった。とりわけ作品において特徴的な「目」の使用、表現にはこだわりが見てとれる。剥製の目は通常、ガラスや樹脂で作られた人工の眼であるが、それを除去して今はイカの眼を使用するなど、目がもっとも生命を表すものだとする作家の意図が取材によって詳細に汲み取れた。 この点に関連し、剥製を製作する剥製師へ取材を行い、とくに「眼」の扱いについて伺った。実際に使用する人工眼を見せてもらい、剥製が「生き生きとした生命をもつように」見せるためには、人工眼の色や、配置する角度が重要であることがわかった。 村松桂は、今道子と同じく剥製を撮影した写真作品を制作している。村松もまた、「眼」にこだわりを持っていることがインタビュー取材から明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、いまだ新型コロナウィルス感染症の影響が残り、国外での調査ができなかった。しかし国内でできる限りの調査を行い、複数の作家や関係者へのインタビュー取材が実現できた。 計画しているデータベースの構築はやや遅れているものの、資料やデータの収集はコンスタントに継続しており、今後も続行していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本資金での研究は再延長したので、2023年度も継続して調査や取材を行う予定である。また新規に獲得した資金により、本研究を基盤としてさらに拡張した調査研究を実施できる状況にある。 具体的には、国外の剥製美術の調査(作家への取材を含む)、自然史博物館での剥製師の調査、さらには国内での調査では動物と人間の関係の変遷について、食と信仰の分野から検討を加える。 日本において動物(主に哺乳類動物)は、神の使いとして、あるいは神に捧げる供犠としても扱われてきた。一方でそれらを神とともに食べる儀式を経て、作物の豊穣を祈るなどの神事が伝えられてきている。地域によって差は見られるが、信仰の多様な伝統において、動物がどのように利用されてきたのかについて検討する。また毛皮や剥製が製作され人々がそれらを使用したり飾ったりすることの意味は歴史的にどのように変化してきたのかについて、考察する。
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Report
(5 results)
Research Products
(11 results)