Project/Area Number |
18K01138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山村 亜希 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (50335212)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2018: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 近世城下町 / 織豊期城下町 / 戦国城下町 / 本拠空間 / 地形環境 / 城郭 / 都市計画 / 港町 / 村の城 / 徳川家康 / 街道 / 浦 / 中世府中 / 在郷町 / 港湾機能 / 宿場町 / 方形街区 / 景観復原 / 景観変遷 / 地域性 / 中世都市 / 城下町 / 空間構造 / 近世化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域における中世都市の近世化プロセスに注目して、日本の近世城下町の空間構造の特徴と地域性を考察するものである。具体的には、(1)研究対象都市に関して、時期別の景観復原図を作成し、城下町の形成プロセスを明らかにする。(2)当該地域において多数存在した中世都市の分布や形態を検討し、地域構造論的視角から、近世城下町への移行過程と要因を探る。(3)その結果を、国内の様々な地域における近世城下町や、西欧中世都市における空間構造の近世化プロセスと比較し、近世城下町の特質を考察する。 本年度は、(1)に関しては、近江彦根を事例として、近世初期に建設された城下町の形成プロセスを復原的に検討しその特徴を論じた。この研究によって、慶長期に建設された初期城下町の形態的特徴と、城下町に街道が引き込まれた元和期の城下町改造の状況を明らかにした。また、彦根城下町は、町人地に職人町の割合が高いこと、足軽地も広い面積を占めること、旧来の村落の集落を一新する街区を施工するニュータウン的な政治都市であったことを実証した(論文「彦根城下町の形成過程と都市計画」)。また、能登七尾、播磨姫路・龍野、遠江浜松についても、城下町の形成プロセスを復原図の作成を通じて明らかにした。(2)に関しては、室町期美濃郡上郡の東氏居館や、織豊期の飛騨高山盆地(松倉城)及び古川盆地(姉小路氏関連城郭群)を事例として、当該期の地域構造の中で、戦国大名の本拠空間が、どのように建設・経営されるのかを、具体的に解明した(論文「室町・戦国期における東氏の本拠空間の形成」・「松倉城下の空間構造」、講演「姉小路氏城館跡とその周辺の空間構造」)。(3)に関しては、フランス北部ロワール川流域及びロレーヌ地方の都市を対象として、城郭と町が都市空間の中でどのように配置され、関連をしているかを、絵図等の資料収集と現地踏査によって調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに繰り越した予算を含めて、本研究の大きな柱の一つである西欧中世都市の現地踏査(フィールドワーク)をようやく実現できたが、年度内に一度しか実施できなかった。今年度使用できなかった予算も含めて、最終年度にも海外調査を実施することを計画している。現在は、海外調査に行けなかった時期に集中的に進めた国内の城下町・港町を中心に研究を進め、成果を出しているが、これに限られた海外調査と資料からどこまでの成果を導き出せるか、苦心している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度が繰り越した予算による研究の最終年度である。第一に、尾張における中世から近世への移行期に、地域の地形環境の中で、どのように城館・市町・寺社・港湾が結合し、城下町や在郷町が建設されるのかを、尾張の城下町及び地域環境の復原研究を通じて解明する。具体的には、名古屋城下町の形成過程、徳川家康の浜松・駿府と比較したときの名古屋城下町の特徴、尾張の拠点城郭である下津・清須・岩倉の空間構造、中近世尾張の港町である熱田・津島・知多大野・半田の空間構造の調査をまとめる。第二に、尾張以外における中近世城下町の形成について、資料が得られた対象地で考察し、それとの比較によって、尾張という地域を相対化し、その地域性を見出す。比較対象地は城下町・港町遺跡が分布する全国各地であるが、特にこれまで本研究で調査が手薄であった地域を組み込むよう検討している。第三に、日本の城下町の近世化プロセスを世界史的視点から位置づけるために、西欧の中近世都市と比較する。現地調査によって、その他の都市図の収集や微地形の把握等を検討し、西欧都市の近世化について知見を得る。イタリアないしスペインを検討している。第四に、研究の最終年度であるため、これまでの事例研究や、資料分析、研究史整理をふまえて、尾張の都市空間における中世から近世への変化を中心に研究を総括する。
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