ゼブラフィッシュを用いたHox遺伝子クラスターのゲノム機能解析
Project/Area Number |
18K06177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43050:Genome biology-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
川村 哲規 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10466691)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | Hox遺伝子 / CRISPR-Cas9 / 遺伝子クラスター / ゼブラフィッシュ / 脊椎動物の体軸形成 / X線CTスキャン / 多重変異体 / Hoxクラスター欠失変異体 / Hox遺伝子群 / 発生遺伝学 / 機能進化 / 脊椎動物 / 脊椎動物の前後軸 / Hoxクラスター / ゲノム構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hox遺伝子群の発見から四半世紀以上経った現在においても、その機能と制御機構については不明な点が多く残されている。その大きな理由として、Hox遺伝子群のゲノム上の構造と、それに伴う相補性の高さが挙げられる。ショウジョウバエでは、単一の染色体上に一列に並んだホメオティック遺伝子群はそれぞれ固有の機能を持ち、遺伝子と機能の相関が明確である。一方、脊椎動物においては、脊椎動物の進化の初期過程で生じた2回の全ゲノム重複により、ヒトやマウスでは4つのHoxクラスターが存在している。また、真骨魚類では4つのHoxクラスターがさらに倍加し8つのクラスターを生じた後、ゼブラフィッシュではhoxdbクラス ターが消失して計7つのクラスター構造を有している。さらに、単一のHoxクラスター内には10個程度のHox遺伝子が並び、個々のHox遺伝子はcis及びtransに相補しあい、その結果、遺伝子と機能の関係は非常に複雑である。このように高度に相補性を持つ脊椎動物のHoxクラスターの機能と制御の全容を解明するには、ゲノムレベルでHox遺伝子クラスターを捉えた解析が必須である。本研究では、胚発生が早く、遺伝学的解析に優れたゼブラフィッシュの利点を生かし、それぞれのHox遺伝子クラスターを破壊した欠損体をCRISPR-Cas9システムを用いて作製し、脊椎動物におけるHox遺伝子クラスターの役割を解明する。さらに、Hox遺伝子 クラスターの多重変異体を作製し、その表現形解析を行うとともに各クラスターのゲノム構造を解析することにより、Hox遺伝子クラスター間の相互作用の意義を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでにCRISPR-Cas9法を用いて、ゼブラフィッシュに存在する7つのhoxクラスターをそれぞれ欠失した変異体の作製に成功した。単離した7つの変異体全てについて、胚発生期における表現型を解析し、成魚まで生存した5つの変異体については、共同研究によりX線CTスキャンを用いて、全身骨格解析および軟組織解析を行った。得られた各hoxクラスター欠失変異体の表現型を、マウスの相同なHoxクラスターを欠失したノックアウトマウスで報告された知見と比較すると、機能が保存されている点や異なる点が見出され、Hoxクラスターは、脊椎動物の進化の過程で異なる機能進化を遂げたことが示唆された。本成果をまとめた論文はDevelopment誌に受理され、「論文として公表する」という昨年度の目標を達成することができた。 また並行して、今年度は、クラスター変異を重ね合わせたhoxクラスター多重欠失変異体を作製し、表現型解析を進めた。その結果、マウスでは見出されていない脊椎動物Hox遺伝子の新しい機能を示唆する様々な表現型を見出した。特に興味深い表現型については、原因となるhox遺伝子を同定するため、クラスター内の各hox遺伝子に変異を導入した変異体を作製した。現在までに、ゼブラフィッシュに存在する48個のhox遺伝子のうち、半数以上のhox遺伝子について変異体を単離し、さらに複数のhox遺伝子に変異を同時に有する変異体も作製した。その結果、hoxクラスター欠失変異体で見出された表現型の幾つかについては、クラスター内のhox遺伝子に変異体で表現型を再現することを確認でき、原因となるhox遺伝子を同定することに成功した。以上のことから、これまでに得られた成果は、当初の想定を上回るもので、当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる今年度は、hoxクラスター多重変異体における表現型解析とその原因遺伝子の同定を行うことを主な目標とする。そのため、様々な組合せのhoxクラスター多重変異体についてマーカー遺伝子を用いてin situ hybridizationを行い、詳細な解析を進める。さらに、これまでに見出した興味深い表現型については、原因遺伝子となるhox遺伝子群を同定し、その機能の詳細をさらに明らかにしていく。特に、既に解析が進んでいるものに関しては論文発表できるレベルまでデータを積み上げることを目標として、今年度の研究を推進していく。
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Report
(3 results)
Research Products
(26 results)
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[Journal Article] An atlas of zebrafish seven hox cluster mutants provides insights into sub/neofunctionalization of vertebrate Hox clusters.2021
Author(s)
Yamada, K., Maeno, A., Kikuchi, M., Suzuki, M., Ishizaka, M., Sato, K., Akama, K., Kawabe, Y., Suzuki, K., Kobayashi, D., Hamano, N., Kawamura, A.
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Journal Title
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Peer Reviewed
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[Journal Article] A globin-family protein, Cytoglobin 1, is involved in the development of neural crest-derived tissues and organs in zebrafish.2021
Author(s)
Takahashi, K., Ito, Y., Yoshimura, M., Nikaido, M., Yuikawa, T., Kawamura, A., Tsuda, S., Kage, D., Yamasu, K.
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Journal Title
Developmental Biology
Volume: 472
Pages: 1-17
DOI
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Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The role of somite patterning in the formation of Weberian apparatus and pleural rib in zebrafish.2020
Author(s)
Akama, K., Ebata, K., Maeno, A., Taminato, T., Otosaka, S., Gengyo-Ando, K., Nakai, J., Yamasu, K., Kawamura, A.
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Journal Title
Journal of Anatomy
Volume: 236
Pages: 622-629
DOI
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[Journal Article] Deadenylation by the CCR4-NOT complex contributes to the turnover of hairy-related mRNAs in the zebrafish segmentation clock.2018
Author(s)
Fujino Y, Yamada K, Sugaya C, Ooka Y, Ovara H, Ban H, Akama K, Otosaka S, Kinoshita H, Yamasu K, Mishima Y, Kawamura A.
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Journal Title
FEBS Letters
Volume: 592(20)
Pages: 3388-3398
DOI
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[Presentation] Transcriptional autoregulation oftbx6 is required for the somite segmentation in zebrafish embryos2019
Author(s)
Ban H, Yokota D, Otosaka S, Kikuchi M, Kinoshita H, Fujino Y, Yabe T, Ovara H, Izuka A, Akama K, Yamasu K, Takada S, Kawamura A
Organizer
第25回 小型魚類研究会
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Ban H, Yokota D, Otosaka S, Kinoshita H, Fujino F, Yabe T, Ovara H, Izuka A, Akama K, Kage D, Yamasu K, Takada S, and Kawamura A
Organizer
第70回日本細胞生物学会・第51回日本発生生物学会合同大会
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[Book] 動物の辞典2021
Author(s)
末光隆志 総編集 (分担執筆)
Total Pages
772
Publisher
朝倉書店
ISBN
9784254171662
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