Comparative genomics of metabolic strategies and speciation in genus Hydra.
Project/Area Number |
18K06364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
濱田 麻友子 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40378584)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 共生 / ゲノム / 刺胞動物 / ヒドラ / 進化 / 種分化 / クロレラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では動物における適応と種分化の進化を明らかにするため、種によって異なる生存戦略を取るヒドラ属の近縁種間の比較ゲノム解析を行っている。ヒドラ属には藻類共生性のグリーンヒドラと非共生性で肉食かつ大型のブラウンヒドラが存在する。グリーンヒドラの細胞内には共生クロレラが存在し、栄養面で相利共生の関係を築いている。本研究ではグリーンヒドラH. viridissima A99のゲノムを解析し、ブラウンヒドラH. magnipappilataや他の刺胞動物との比較ゲノム解析を行なった。 グリーンヒドラでは、Nod-like受容体遺伝子のような自然免疫系遺伝子が特異的に多く見られ、さらにドメイン構造が複雑化していることがわかった。このような遺伝子の大規模重複と構造の複雑化は、褐虫藻との共生が知られるサンゴでも見られることを報告しており、藻類共生性刺胞動物に共通に見られる現象である。また、共生クロレラにおいては、その共通祖先においてアミノ酸トランスポーターやキチン代謝系遺伝子の重複が起こっており、クロレラ科で共生性が頻出するポテンシャルに繋がった可能性がある。 ブラウンヒドラは体サイズが比較的大きく、これは捕食性を反映していると考えられる。しかし、ゲノム解析の結果、ボディプランに関わることが知られている遺伝子レパートリーはグリーンヒドラとほぼ同一であり、遺伝子発現調節メカニズム等に何らかの違いがあると考えられる。また、グリーンヒドラのゲノムサイズは約300Mbであるのに対し、ブラウンヒドラゲノムは約1Gbと大きな差がある。これらのゲノムにおけるリピート配列の分布を比較したところ、ブラウンヒドラではRNAトランスポゾンの増幅によるゲノムサイズの増大が起こっている一方、グリーンヒドラゲノムにはRNAトランスポゾンがほぼ存在しておらず、ヒドラ属の原始的な状態を保持していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では近縁種間の生存戦略の差を生み出す原因を探るため、グリーンヒドラHydra viridissima A99系統やその共生クロレラのゲノムを解読し、ブラウンヒドラH. magnipappilataやその他の刺胞動物ゲノムとの比較によって、(1) グリーンヒドラとブラウンヒドラのゲノムにおけるRNAトランスポゾンなどリピート配列の分布、 (2)グリーンヒドラゲノムで特異的に重複の見られる遺伝子群、(3)刺胞動物におけるボディプランに関わることが知られている転写因子やシグナル分子の遺伝子レパートリーを明らかにし、刺胞動物におけるヒドラ属の進化や藻類共生性に関わる遺伝子に関して考察した。結果は原著論文としてG3: GENES, GENOMES, GENETICSに掲載された。 グリーンヒドラHydra viridissima A99の共生クロレラに関してもゲノム解析や系統関係の解析を行い、クロレラ科独自に重複が見られる遺伝子群を明らかにし、クロレラ科における共生性出現の進化の道筋や共生性ポテンシャルへの獲得について考察した。以上の結果は原著論文としてまとめ、現在投稿準備中である。 H. viridissima A99とH. magnipappilataとこれらのヒドラ属の近縁系統に関して、Oxford Nanopore社のMinIONを用いたロングリードシーケンスによるリシーケンスおよび新規ゲノムシークエンスを行なっているが、期待通りのデータ量を得るまでに至らず、やや遅れているとした。現在、高分子ゲノムの抽出や夾雑物の除去などの手法を改良し、再度シーケンスに挑戦している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までにグリーンヒドラH. viridissima A99とブラウンヒドラH. magnipappilataのゲノム構造や遺伝子構成の違いを明らかにすることができた。その一方、グリーンヒドラとブラウンヒドラでは体サイズが大きく異なるにも関わらず、ボディプランに関わることが知られている転写因子やシグナル分子の遺伝子レパートリーはほぼ同一であり、未だ体サイズの違いの原因の特定には至っていない。この体サイズの違いをもたらしている要因は遺伝子発現調節メカニズムの差である可能性が考えられ、転写調節領域など遺伝子領域以外の比較も重要であると思われる。また、H. viridissima A99やその共生クロレラで見られたような共生に関係する遺伝子の特徴が、他の系統でも見られるかどうかを解析することで、ある特定の共生環境下において同様の適応進化が起こっているのかどうかを確かめる。 以上の目的で、現在Oxford Nanopore社のMiNIONを用いたロングリードシーケンスによるH. viridissima A99とH. magnipappilataのリシーケンスと、これらそれぞれの近縁種であるH. viridissima M8とH. vulgaris AEPの新規ゲノムシークエンスを行っている。前年度のランでは期待通りのデータ量を得るまでに至っておらず、その原因の1つはDNAのクオリティにあると考えている。現在、高分子ゲノムの採取や夾雑物の除去などの手法を改良しており、再度挑戦する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)
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[Presentation] GREEN HYDRA GENOME: CHARACTERISTICS AND EVOLUTION OF BASAL AND SYMBIOTIC HYDRA2019
Author(s)
HAMADA, M., KHALTURIN, K., SHINZATO, C., SCHROEDER, K., BOSCH, T. C. G., AND SATOH, N.
Organizer
Hydra Meeting 2019, At the roots of bilaterian complexity: Insights from early emerging metazoans
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Int'l Joint Research
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