Project/Area Number |
18K06566
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47010:Pharmaceutical chemistry and drug development sciences-related
|
Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
安達 勇光 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 主席研究員 (00250051)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | ヘパラナーゼ / がんの増殖・浸潤・転移 / 薬剤耐性 / 阻害剤 / 冬虫夏草・昆虫病原糸状菌 / がんの糖鎖 / 冬虫夏草 / 癌の薬剤耐性 / エクソソーム / 増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、「がん細胞の薬剤耐性の原因の一つと考えられているヘパラナーゼの分泌と酵素活性を指標とした阻害剤の探索系を構築し、それらを阻害する化合物を独自に開発した冬虫夏草を含む昆虫病原糸状菌代謝産物ライブラリーから探索し抗がん医薬品のシーズを獲得する」ことである。がんの薬剤耐性を制御する方法として、「ヘパラナーゼの酵素活性の抑制」、「がん細胞からのヘパラナーゼの分泌の制御」の2点を挙げている。「ヘパラナーゼの酵素活性の抑制」については、令和元年度に完成したヘパラナーゼの酵素活性を呈色試薬により検出する探索系において、ブロスサンプルをもちいると当初予想していなかった偽陽性が検出されることが明らかになったため、この探索系を補完する新たなスクリーニング系が必要となった。そこで令和2年度は、新たにLC/MSを用いて酵素阻害を検出する系を構築した。この二つのスクリーニング系を用いて、当研究所が保有する天然化合物ライブラリーから阻害剤を探索し数種の既知活性化合物を得た。その活性化合物の構造をもとに類縁物質の合成探索を行った。 「がん細胞からのヘパラナーゼの分泌の制御」については、令和2年度も引き続きヘパラナーゼ高発現がん細胞株樹立の検討を行った。この樹立細胞株からヘパラナーゼの分泌が期待され、分泌阻害剤の探索が可能となる。 阻害剤スクリーニングの探索源となる、冬虫夏草菌を含む昆虫病原糸状菌を様々な場所から収集し、多様性を増すよう代謝産物ライブラリーの拡充を図った。 ヘパラナーゼ阻害剤の合成探索を行った。以前当研究所で見出されたヘパラナーゼ阻害剤Heparastatinの出発原料である天然物シアスタチンBを用い、環内窒素への官能基導入を基軸とした誘導化を検討した。この修飾法は、阻害剤構造の安定化と新たな酵素の認識部位を導入する点で新しい試みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、がんの薬剤耐性を制御する方法として、「ヘパラナーゼの酵素活性の抑制」、「がん細胞からのヘパラナーゼの分泌の制御」の2点を挙げている。「ヘパラナーゼの酵素活性の抑制」の進捗については、令和元年度、ヘパラナーゼの酵素活性を呈色反応により検出する阻害剤の探索系の構築が完了したが、当初予期していなかった偽陽性(偽ヒット)が出ることが明らかになったため、ヒットの真偽を判別するための別の酵素反応の検出法の検討を始めた。令和2年度は、この新たな酵素反応検出法を確立した。酵素反応の基質(Fondaparinux)がヘパラナーゼにより切断されて生じる2糖をMSにより検出した。基質、2糖は多数の-SO3Na基を有しており、これらの糖のMSによる検出には、pH調整による部分的に硫酸基(-SO3H)への変換が必要であることを明らかにした。 この2つの酵素阻害の探索系を用いて、当研究所所有の既知天然化合物ライブラリー、冬虫夏草菌を含む昆虫病原糸状菌の代謝産物ライブラリーから阻害剤の探索を行った。その結果2種の活性化合物を見出した。 「がん細胞からのヘパラナーゼの分泌の制御」については、ヘパラナーゼcDNAの複数のヒトがん細胞株への導入を行ったが、細胞からの酵素の分泌が低くヘパラナーゼの分泌を評価できるレベルには至らなかった。 ヘパラナーゼ阻害剤の合成探索については、天然物シアスタチンBを出発原料とし、シアスタチンBの環内窒素に酵素と相互作用できる官能基の導入を検討し可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
がんの薬剤耐性を制御する方法として挙げている「ヘパラナーゼの酵素活性の抑制」ついては、令和3年度は、令和元年度までに構築した2つのヘパラナーゼ阻害剤の探索系を用いて、天然化合物ライブラリーや冬虫夏草菌を含む昆虫病原糸状菌代謝産物ライブラリーからの阻害剤のスクリーニングを完了する。これまでに得られている天然物の活性物質の活性と構造の情報をもとに類縁物質の合成探索を行い、構造と活性の最適化を行う。 「がん細胞からのヘパラナーゼの分泌の制御」については、令和2年度までに評価に十分なヘパラナーゼ量を分泌する細胞が得られなかったので分泌阻害剤の探索系の構築は中止とし、ヘパラナーゼの酵素活性阻害剤の探索の方へ優先して注力することにする。 当研究所で、以前合成探索により見出されたヘパラナーゼ阻害剤Heparastatinの類縁体合成をさらに進める。Heparastatinの出発原料であるSiastatin Bの環内窒素へ酵素と相互作用しうる多様な官能基の導入を検討する。
|
Report
(3 results)
Research Products
(1 results)