Project/Area Number |
18K14781
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
関根 一希 立正大学, 地球環境科学部, 専任講師 (10779698)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2018: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 進化生態 / 繁殖様式 / 地理的単為生殖 / 一斉羽化 / オートミクシス / 水生昆虫 / カゲロウ / 進化生態学 / 単為生殖 / 繁殖生態 / 河川 |
Outline of Annual Research Achievements |
オオシロカゲロウは河川の中・下流域に棲息する水生昆虫であり, 一斉羽化 (同調的な羽化) をし, しばしば大量発生に至ることがある。本種は地域によって雌性個体群と両性個体群が認められる地理的単為生殖種であり, 雌性個体群では二倍体の雌性産生単為生殖によって維持される。ミトコンドリアDNAのCOI遺伝子解析から, 雌性個体群を形成する個体は西日本の両性個体群に起源する単系統群・単為生殖系統であること, また, 二次的に単為生殖系統は東日本に侵入し, 分布を拡大したことが明らかとなっている。 このような背景の中, 福島県・阿武隈川および埼玉県・荒川においては両性生殖系統と単為生殖系統が同一河川内に分布することが明らかになってきた。これらの河川では, 両系統間で羽化の時間帯にずれが生じている。 一般に, カゲロウ類の一斉羽化の適応的意義としては, 仮説1. 交尾相手発見の容易さ説と仮説2. 捕食者の飽食説が挙げられていた。前者は,オオシロカゲロウのように短命な種 (羽化個体は1-2時間で息絶える) では, 重要性が高いと考えられる.単為生殖だけで世代をまわす雌性個体群においても一斉羽化が観察されているため,前者よりも後者の飽食仮説の方が支持されている.しかし, 両性生殖系統と単為生殖系統が共存した場合, 一斉羽化にずれが生じるため, 繁殖干渉相手からの逃避など, 捕食者からの回避とは別の要因が関係していると推測される。本研究では, カゲロウ類の一斉羽化はなぜ生じるのか, といった適応的意義について新たな解釈を得ることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまで, COI遺伝子の高分解能融解曲線 (HRM) 解析を行なうことで, 両性生殖系統か単為生殖系統かを判別する手法を開発し, 安価かつ短時間でより多くの試料を扱うことを可能にした。野外調査および遺伝子解析から, 東日本における両性生殖系統の分布は非常に限られており, 両性生殖系統のみだけで構成される地点は東京・日野用水と, 房総半島内の河川, 福島・阿武隈川の上流部のみとなっている。東日本における両タイプの生殖系統が混生する水系としては, 阿武隈川と荒川の2つの水系のみである。 また, 羽化個体から採卵した成熟未受精卵をDAPI蛍光染色し, 卵表面や卵門に精子があるかどうかを蛍光顕微鏡下で調べることで, 羽化個体が交尾済みか未交尾かを調べる手法を確立した。羽化個体の採集と採卵を行ない, 卵の正常発生率 (生存率), 単為生殖系統 / 両性生殖系統か, 交尾済み / 未交尾かを調べたところ, 単為生殖系統のメス成虫では, 交尾済みのものは認められず, 単為生殖系統の中に低い単為生殖能力を示すものが認められた。単為生殖系統の繁殖力は, 両性生殖系統(受精卵)に比べて, かなり不安定と思われる。 これらの成果を論文にまとめて投稿中であるが, 受理までに時間がかかっている。主に,野外調査が限られてしまっている(コロナ渦中で野外調査が制限された)ことが指摘されており, 補足の調査を行い, 再投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
主に論文執筆とデータの補完である。データ補完に関する内容は以下の通り。 研究① 単為生殖系統の有無の判別をより容易にするために, 環境DNAの手法を確立する。流程規模での幼虫を対象とした性比調査・遺伝子解析による生殖系統の判別にかけるコストを下げる。 研究② 両系統間での羽化時間帯および両系統に対する捕食圧を明らかにする。コウモリ類 (モモジロコウモリやアブラコウモリなど), 魚類 (コイやオイカワなど), 肉食性水生昆虫 (ミズスマシなど), 野鳥 (マガモなど) を対象とした羽化時間帯における捕食者の調査を行なう。 研究③ 両系統間で生じる繁殖干渉を明らかにする。単為生殖系統の羽化時間帯のシフトは, 両性生殖系統オスからの繁殖干渉があるとすれば説明可能である。両系統の混生地では, 単為生殖系統の単為生殖能力の低下が確認されたが, 単為生殖系統と両性生殖系統間の交雑によって繁殖力が低下した可能性が考えられる。単為生殖能力の低い個体は交雑体であるのか, 次世代シーケンサーを用いてのSNP解析を行ない, 明らかにする。また, 単為生殖系統の成熟未受精卵はオートミクス型二倍体雌性産生単為生殖で発生する運命が決まっている場合, 精子の存在により, うまく発生できなくなる, あるいは三倍体となり子孫を残すことができなくなる, といった繁殖干渉が生じる可能性も考えられる。人工交配・人工授精法を開発し, オス成虫と単為生殖系統メス成虫間での発生観察調査を行なう。
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