Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
これまでにin vitro培養系において、低用量のデキサメタゾン(Dex)が熱帯熱マラリア原虫の感染した赤血球(iRBC)の表面上にホスファチジルセリン(PS)の曝露を誘導する(一方で非感染赤血球では誘導しない)ことを見出した。さらにPSを曝露したiRBCはヒト単球株であるTHP-1細胞によって優先的に貪食された。これらの知見に基づき、本研究では(i)DexがiRBC特異的にPSを曝露する現象のメカニズムを解明し、(ii)げっ歯類マラリア原虫が感染したマウスに対するDexの効果を確認する(in vivo試験)と同時に、(iii)マラリア原虫感染、Dex投与後に再感染させたマラリア原虫の原虫率の変動、宿主免疫応答の変化を観察することを目的とした。最後に(iv)マラリア原虫排除のために薬剤誘発型の抗マラリア免疫療法への応用を目指した。本研究で最適なDexの添加量、添加条件を検討し、最適な添加量、添加条件を見出した。これにより、iRBC上のPS曝露の誘導に関して高い誘導率と再現性が得られ、メカニズムの解明が容易にできるようになった。Dex添加後、PS暴露中の細胞内カルシウムイオン濃度の変化を蛍光顕微鏡で観察し、細胞内カルシウムイオン濃度とは高い相関がないことが明らかとなった。アポトーシス誘導後のPSの暴露に関しては細胞内カルシウムイオン濃度と高い相関があることから、本結果は予想外であった。PSの暴露を調節するフリッパーゼ(ATP11C)およびスクランブラーゼ(PLSCR1)の活性化を評価する必要があり、蛍光顕微鏡観察、ウェスタンブロッティングのセットアップをした。