Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
一般的に心筋組織は心筋細胞や線維芽細胞等が細胞外マトリックス(ECM)を介して物理的接合または細胞間、細胞-ECM間での細胞シグナルの伝達を行っており、移植心筋細胞の生存及び移植心筋組織のレシピエント心筋へのintegrationに関してECMの果たす役割は大きい。心筋組織がvivoに移植された際、心筋組織内のECMのremodelingが移植心筋細胞の成熟性、生着性及びレシピエント心筋組織へのintegrationに大きく寄与すると考えられるが、その詳細は明らかではない。本研究の目的は、体外で作成した人工的心筋組織をvivoに移植した際におこるECMのremodeling及び移植心筋細胞の表現型を詳細に検討し、移植後remodelされたECMの特性及びレシピエント心筋ECMとの相同性を検証することである。我々はフィブロネクチンとゼラチンによるLayer by Layer法でヒトiPS由来心筋構築組織を作成し、心筋梗塞により慢性心不全をきたした免疫不全ラットに移植し、12週後に犠死させ、心臓組織検体を作成した。免疫染色法を用いてラミニン、Ⅳ型コラーゲン、パールカン、エンタクチンなどのECMが心筋構築組織の移植前後で変化し、さらにレシピエント心筋のECM構成と似ていることがわかった。また心筋細胞の成熟評価については膜タンパクであるインテグリン、サルコグリカン、ディストログリカン、中間型フィラメントも心筋構築組織が移植前後で成熟し、より正常心筋細胞に近づいていることがわかった。CMのremodeling及び、心筋細胞成熟評価としてマイクロダイセクション法にて移植した心筋構築組織、移植部位の周囲組織を分離し、移植前後の心筋構築組織をmRNA化した後、DNAマイクロアレイで発現しているECM蛋白の発現、心筋蛋白を網羅的に評価したが、検体も数が少なくさらなる検体の数が必要と思われる。