The Narrative Generation of Kabuki
Project/Area Number |
18K18509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 2:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
小方 孝 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (50293436)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2018: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 歌舞伎 / 物語生成 / 統合物語生成システム / 芸能情報システム / 型 / 台帳 / ポストナラトロジー / 拡大小説 / 物語ジャンル体系 / 私・物語 / 日本昔話 / 作者式法戯財録 / 世界綱目 / 能 / 綯交ぜ / ストーリー / 綯い交ぜ / 尽し / 役者 / 物語 / 多重物語構造 / 歌舞伎の「世界」 |
Outline of Annual Research Achievements |
①歌舞伎の物語生成に直接関連する研究―(1)『京鹿子娘道成寺』を題材とした研究において、道成寺伝説との関連に基づき開発中のアニメーションやロボットを使ったシステムを拡張した。また種々の「説明」を挿入する機構を作成した。(2)歌舞伎の台帳の体系的調査・分析に着手し、何種類かの脚本全集の構成を調査を継続、網羅的読解を開始した。(3)上記を含む従来からの諸研究を継続し、著書の一章として諸成果を体系的に記述した。 ②物語生成システム関連研究―(1)日本昔話の「型」の研究に基づき、千近くの型をプログラム化し統合物語生成システムと結合する研究を行った。本研究は歌舞伎の型の記述への応用も想定する。(2)生成した物語の中に性愛に関する用語・概念や表現を挿入するシステムを開発し、歌舞伎関連システムの一機能として結合した。(3)2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻を物語生成及び「物語戦」の観点から分析・解釈し、システムにつなげる研究を行った(2023年夏頃『物語戦としてのロシア・ウクライナ戦争』の題で新曜社から出版予定)。これは、現実における事象を巡る物語の種々のあり方を体系的に検討する物語生成研究の一応用であり、古くから現実と虚構との一種の綯交ぜとして作られて来た歌舞伎の物語生成に対しても示唆を与える。 ③歌舞伎と物語生成システム全般の基盤・応用に関する研究―ポストナラトロジー構想の全体像を一冊の本にまとめた。これは主に日本の文学・芸能をはじめとする物語を中心に構成され、歌舞伎を物語・芸能その他の物語を体系的に集成するジャンルとして位置付ける。最終的応用は「物語生成システムを使った物語乃至拡大小説の制作」であり、「拡大小説」は歌舞伎を大きな枠組みとする。『京鹿子娘道成寺』・道成寺伝説及び上述の日本昔話の型等を使った作品の試作制作に着手し、全体の約半分(A4、80枚程度)を制作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
5に示したように、関連文献を利用した研究や、システムの設計・開発に関連する研究に関しては順調ないしそれ以上の進展を見ている。2022年4月に新曜社から出版した著書『物語生成のポストナラトロジー―人工知能の時代におけるナラトロジーに向けて』は筆者の研究の全体像を体系的に示したものであるが、その中の第2章に「歌舞伎の物語生成研究」の従来の成果の全体を集成することができた。(具体的な進捗状況については、5を参照。) しかし、2021年度に引き続き2022年度も新型コロナウイルスの流行とそれに関連する諸事情に阻害され、当初計画し、2019年度までは順調に進展していた歌舞伎や関連する芸能等の実地研究(歌舞伎等の演目のみならずその建築物や物語に関連する土地、博物館・資料館等を含む)を全く進められない状況であった。そのため、特に歌舞伎の構成要素に関する体系的研究のうち、劇場そのもの―その内と外―の調査・研究、歌舞伎の作品制作の個々の上演に即した具体的な調査・分析等、計画していた重要な研究を遂行することができなかった。また、歌舞伎の実地での調査や研究は、その種の直接的な部分だけでなく、文献的な調査・研究を行うに当たっても、その裏付けとして極めて重要である。 以上のように、実地調査以外の項目では種々の進捗があったが、本研究の最も重要な実地調査に関しては、疫病流行というやむを得ない状況が主な理由があるものの遅れており、全体として「やや遅れている」の区分とする。
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Strategy for Future Research Activity |
①実地調査・分析―各地での歌舞伎上演を通じた演戯や演出の調査・分析、地方の小屋を含めた歌舞伎の劇場内外の調査・分析、博物館・資料館等での深い知識獲得、歌舞伎に所縁の土地等の調査・分析等を通じ、歌舞伎の構成要素や脚本等基盤的な知識・知見を獲得する。主に松竹傘下に行われている主流歌舞伎に関するものの他、地方の地芝居(「農村歌舞伎」等)の調査も重要な項目に加える。②道成寺物再現システムの発展―知識説明機構との結合の発展、ナレーションロボットのユーザインタフェースとしての利用等を通じシステムを発展させる。③歌舞伎の構成要素確定と調査・分析研究の発展―構成要素体系の再考・再編成と、より深く広い知識の導入を行い、その結果を何らかの形でシステム化する。④歌舞伎台帳の体系的調査・分析―何種類かの脚本全集を網羅的に調査し収録作品を整理、実際に読みながらの歌舞伎の物語生成研究への導入方法の考案等の作業を行う。⑤歌舞伎由来の理論・方法の調査・分析―江戸時代の『作者式法戯財録』、『世界綱目』等の調査・分析、現代の批評家・研究者の物語論的研究の調査等を行って来たが、「歌舞伎のナラトロジー」の摘出を目的として今後古典的な役者年代記、明治以来の批評や作品分析等に射程範囲を広げる。これはポストナラトロジー構想の発展とも関連する。その全体構想の中で、歌舞伎は日本の物語・芸能の凝集点に位置付けられる。⑦関連的・応用的研究として、まず歌舞伎の物語生成研究を取り入れた拡大小説の制作研究があり、その枠組み・方法として娘道成寺をはじめとする歌舞伎作品や本研究から得られた諸知見を利用する。次に、ロシア・ウクライナ戦争を物語生成及び物語戦の観点から総合的に分析・検討する研究の発展・拡張において、特に現実の物語と虚構の物語との関係付けにおける物語の語りの問題を、歌舞伎における物語生成の問題につなげて検討する。
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Report
(5 results)
Research Products
(113 results)