Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
使用済み核燃料の再処理によってUとPuを分離・回収した後の,様々な放射性核種を含んだ高レベル放射性廃液(HLW)中から,Am,Cm等ように三価安定なマイナーアクチノイド(MA(III))を分離する事は高レベル廃棄物処分およびアクチノイドのリサイクルの観点から重要な社会的な要請が強く大きい.このMA(III)の分離に立ちはだかる問題は,多量に存在する三価希土類元素(RE(III))との化学挙動の酷似性である. 本課題の研究は、昨年度で(1-1)陽極槽と陰極槽に高低差を設け,(1-2)用いる溶液にチオシアン酸イオンを含ませてキャピラリー電気泳動することにより,(2-1)Am(III)は陽極槽にEu(III)は陰極槽に完全に別れて泳動すること,および(2-2)両者の連続分離が可能である事を実証でき(特許出願)、研究の目的がほぼ達成できた。 前年度には接触イオン対の形成能力の差異に着目した研究であった。本年度はさらに弱い相互作用の溶液化学的な基礎研究を行った。すなわち、MA(III)とRE(III)の溶媒共有型イオン対形成能力の両者(Am^<3+>とEu^<3+>)の差異をメタノール/水混合溶媒溶液系でヨウ化物イオンを用いて調べた。メタノールモル分率が低い条件ではI^-とAm^<3+>の相互作用はEu^<3+>に比べ弱い。わずかながら共有結合性を持つAm^<3+>では、溶媒和した水分子からのわずかな電荷移動がおこり、溶媒和したAm^<3+>の表面電荷密度をEu^<3+>のそれより小さく、そのためI^-との静電的相互作用が小さい。しかし、I^-を用いる落差式キャピラリー電気泳動法では、MA(III)とRE(III)の両者を分離できなかった。RE(III)とI^-のイオン対の生成定数は原子番号の増加とともに減少の傾向を示した。RE^<3+>では原子番号増加とともにイオン半径は減少し、溶媒和の構造性は強くなる。そのためI^-が近づきにくくなり,生成定数は小さくなったと推定できた。 さらに自己集積膜をからめたMA(III)とRE(III)の分離法の開発も試みた。 これらの得た知見はMA(III)とRE(III)の化学的挙動の理解に役立ち、且つ新しい分離法に繋がる可能性もある。
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