Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
1.本研究の目的である、マウスにおける瞬目反射条件づけにおいて小脳が必須ではないという仮説を検討するために厳密な条件のもと、小脳切除による条件反射の形成および保持に対する効果を調べた。小脳半球切除の後、i)2週間、ii)4週間、iii)8週間の三通りの回復期間を置いたのち条件づけを行った。その結果、いずれの回復期間においても、小脳切除野生型マウスはコントロール群に比し著明な学習障害を呈し、10日間の学習試行において有意な学習率の上昇を見なかった。これまでの研究で、ウサギやラットでは小脳(小脳核あるいは小脳皮質)を切除すると本学習の獲得が大きく損なわれ、また一度蓄積された記憶も著明に失われることが知られていた。今回の結果は、マウスにおいても他の種同様、小脳が本学習の記憶の形成・保持の場として働いていることを示すものである。適切な条件の実験系を用いた場合、小脳が広く種を超えて、このタイプの運動記憶成立に必須であることを明らかにすることができた。なお、遺伝子操作により、小脳皮質の機能を可逆的に活性化/不活性化することのできる数種のミュータントマウスでも本実験の結果を支持するデータを得ている。2.麻酔下にC57BL/6マウスおよびDBA/2マウスの右側小脳半球を吸引除去し、2週間以上の回復期間の後に、右眼(対側)を用いた典型的な遅延課題による瞬目反射条件づけを行った。以前の結果と同様に、C57BL/6マウスにおいては対側小脳破壊群の学習障害は認められなかった。加えて、前年度に顕著な同側小脳依存性が明らかとなったDBA/2マウスにおいても、対側小脳依存性は認められなかった。以上の結果は、DBA/2マウスにおける小脳破壊の効果は、これまで報告されているNew Zealand白ウサギにおける小脳依存性と一致していることを示唆している。
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