Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
本研究の目的はデュシャンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の病態に血管機能障害が関与する機序を明らかにし、血管機能の改善を図ることによりDMDの新たな治療法を開発することである。平成21年度は、前年度に行ったモデルマウスと野生型マウスの大動脈における遺伝子発現に関する比較検討の結果を解析した。モデル動物であるmdxマウスの大動脈では、一酸化窒素(NO)の代謝や血管の収縮に関わる経路が、野生型の2倍を超える発現量を示すことが見いだされた。そこで、まずNOの機能不全により発生する活性酸素を抑えるため、田辺三菱製薬から供与を受けたフリーラジカルスカベンジャーであるエダラボンをmdxマウスに投与した。しかしこれに関しては、これまでのところ投与による効果は認められていない。次いで旭化成ファーマから供与を受けた血管拡張作用を持つ塩酸ファスジルをmdxマウスに投与した。現在その結果を解析中であるが、筋崩壊の指標となる血清クレアチンキナーゼの値が低下傾向を示している。これについてはマウスの数を増やす、筋の病理像を比較するなどして今後さらに解析を進める予定である。